ウルトラセブン
9話「アンドロイド0指令」


指令一つで本物の武器となる精巧なおもちゃを子どもたちに与え、大人たちが子どもに手を出さないことを逆手に取り、子どもたちを操って世界征服をしようと企むチブル星人。星人自身は大した戦闘能力を持たないので、ボディーガードとしてアンドロイドの少女・ゼロワンを連れています。チブル星人のデザインも大変ユニークで印象的ですが、それ以上に、小林夕岐子さんが演じたゼロワンの金色で統一された衣装とマネキン人形を模したイメージが持つインパクトは、ウルトラシリーズ全体を通じても他に例を見ないほど強烈なものでした。

朝日ソノラマ刊「ファンタスティックコレクションNo.29 ウルトラセブン 特撮ヒーローのすばらしき世界」の中で、満田監督は次のように述べられています。

・・・東宝撮影所で女優の小林夕岐子と会った。お面をかぶったような無表情な顔をした美女だ。ロボット的冷たさも感じた。さっそく上原正三にアンドロイド美女を主人公にした「アンドロイド0指令」の脚本作りにかかってもらった。

つまり、元々「アンドロイド0指令」は小林夕岐子さんの容貌やイメージから着想を得て創り出された脚本であり、アンドロイド少女がお話の主人公であったわけです。次に、モロボシダンを演じた森次晃嗣氏の著書「ダン」(扶桑社)における、森次氏と満田監督の対談から9話に関連する部分を紹介します。

(満田) 僕の場合、撮った作品の八割がたは脚本家と話し合って、一から作った。・・・・「マックス号応答せよ」(第4話)あたりはすでにできあがっていたけど。だから、僕の意向が反映されてきたのは、「アンドロイド0指令」(第9話)のあたりから。(中略)

(インタビュアー) 第9話「アンドロイド0指令」はチブル星人より、アンドロイドとおもちゃじいさんの方が印象に残る回ですね。

(満田) あの戦車のシーンの特撮は僕がやった。

(森次) あれは銀座の松屋だったよね。かけずりまわったのは松屋の中で、戦車のシーンはセット。

(満田) マネキンの手が伸びてきたのは松屋。発砲シーンは人手が足りなかったから、照明の助手なんかにも手伝わせたりして。針金の先と先をくっつけるだけで発砲する仕掛けだったんだけど、一発発射すると40発出るまでとまらないんだよね。まだ本番じゃないのにやりたくなるらしくて、待ってたダンとソガに玉が飛んで、あわてて隠れるんだけど、決まってその方向に向かっていくから不思議だね。

(森次) フエルトに小さな粒がついてたから、当たると痛かった。(笑)


ちなみにこの回は、アンヌ隊員の登場シーンがわずか1カット、セリフは全くなしという珍しい回でもあります。


本編ストーリー紹介

夜の街をポインターでパトロール中のフルハシとソガの目前に、突然、何者かが飛び出して来た。金色の衣装に身を包み、金色の髪をした美女である。彼女はポインターに歩み寄り、機械的な声でフルハシに話しかけた。

「ウルトラ警備隊の方ですね?」

フルハシ「そうですが」

「あの、モロボシ隊員では?」

フルハシ 「俺?・・・そう、モロボシ・ダン(笑)」

「お会いしたかったんです」

金髪の美女は、モロボシダンであると聞いてにっこり微笑み、握手を求めて右手を差し出した。安易に応じたフルハシだったが、次の瞬間、女の手から強烈な電撃が放たれ、あわやショック死というピンチに。女はソガの追跡を逃れて闇へ消えた。

翌日、フルハシが女からもぎ取ったブローチを分析した結果、宇宙金属であることが判明。ブローチからは「アンドロイド0指令」という言葉が読み取れた。自分の身代わりにフルハシが負傷したことに責任を感じたダンは、ソガと共に、昨夜の女の追跡と、「アンドロイド0指令」の謎を探るべく行動を開始する。

二人はパトロール中に立ち寄った公園で、おもちゃじいさんと呼ばれる老人が、本物そっくりのおもちゃを子どもたちに与えているのを知る。そのおもちゃには全て奇妙な形のワッペンが付いていた。不審を抱いたダンとソガは老人を尾行し、付近で聞き込みを行う。また、二人が基地へ持ち帰ったワッペンを調べたところ、例のブローチと同じ宇宙金属で作られた特殊な受信装置であることが分かった。子供たち、おもちゃ、ワッペン、そして0指令・・・これらのキーワードを結び付けるものは一体何か。

子供たちにおもちゃを与えていた謎の老人は、実は地球征服を企てるチブル星人の仮の姿であった。ウルトラ警備隊の動きを察知した老人は、計画発動を決意。老人が隠れ家の奥に納められたマネキン人形に念力をかけると、人形はたちまち、ソガとフルハシが遭遇した例の金髪美女の姿へと変貌した。

老人「アンドロイド0指令、今夜発令する」

「はい」

老人「そのためにはモロボシダンの動きを封じなければならん。それがお前の役目だ。お前はそのために造られた」

「わかっております」

老人「二度と失敗は許されんぞ。何としてでもモロボシダンを」

「M地点に誘い込みます」

老人「それが良かろう。そろそろこっちへ向ってる頃だ。行きなさい」


夜の街を疾走するポインター。その前にあの金髪美女=ゼロワンが飛び出してきた。ゼロワンは、必死に追跡するダンとソガを尻目に、人間離れしたスピードで悠然と走り、しかも息一つ切らしていない。やがてダンとソガは、ゼロワンが逃げ込んだと思われるデパートに辿り付き、閉まりかけているシャッターをくぐって店内へ入った。だが、これこそがゼロワンの罠であり、二人はまんまと誘い込まれたのであった。暗い店内を歩く二人に突然、場内アナウンスが聞こえてきた。

「お客様にお知らせします。午前0時の時報と共に、アンドロイド0指令が発令されます。あとしばらくお待ちください」

何度も繰り返されるアナウンスの声の主を追って階上へ向かうダンとソガ。「アンドロイド0指令とは何だ、答えろ!」ソガが叫んだその時、二人の前に老人とゼロワンが姿を現した。老人は誇らしげに自慢の計画=0指令を語って聞かせると、何かの合図をするように手をかざす。すると、店内に陳列されていたおもちゃが本物の兵器と化し、二人を攻撃し始めた。無数のおもちゃとゼロワンの攻撃を振り切り、店内の小さな部屋に逃げ込んだ二人だが、ゼロワンの怪力でドアを破られ、追い詰められてしまう。ダンはやむなくソガに当て身を浴びせ、ウルトラセブンに変身。形勢は逆転し、セブンは逃げる老人とゼロワンを追って屋上へ出た。

老人 「あの時、モロボシダンを殺しておけば・・・」

「もう、何もかも終わりです」

電撃を放とうとするゼロワンだが、一瞬早くセブンのエメリウム光線がその額を貫く。たちまち元のマネキン人形の姿に戻ってゆくゼロワン。マネキンはその場に倒れ粉々に砕け散った。観念して正体を現したチブル星人も、エメリウム光線を受けて溶解していった。

やがて時計が午前0時を知らせた。だが、何事も起こらない。街は平和に眠っていた。




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