レッツ・ゴー ミュンヘン!
11話(最終回)「世界に挑め サンダー・ボール!」


原作本「栄光へのスパイク」(ルック社刊)表紙


幻の1時間スポ根ドラマ

本作は元々『ワン・ツウ アタック!』というタイトルでスタートしましたが、13話でストーリー的に一応の区切りが付けられ、引き続きキャストの一部を入れ替えて『レッツ・ゴー ミュンヘン!』として全11話が放送されました。両者の基本設定はほぼ同じで、主題歌も流用されているので、実質的には同一番組と考えて良いと思います。2004年4月より、アテネオリンピックを控えた日本女子バレーボールチームの活躍が火付け役となってか、CSファミリー劇場で放送がスタート。縦割りエクボがキュートな大田黒久美さんの初主演ドラマであり、私も長年ファミ劇にリクエストを出していた作品なので、オンエア決定の報を知ったときは本当に嬉しかったです。

スポ根ドラマの中で小林夕岐子さんがゲストで登場するような展開があるかどうか全く読めませんでしたが、最終回で思いがけずその姿を確認することが出来ました。主人公・伴久美子(大田黒久美)が想いを寄せていた和泉徹(山内賢)と結婚する重役令嬢・高野かおり役です。小林夕岐子さんは映画『怪獣総進撃』、『決戦!南海の大怪獣』で久保明さんと共演していますが、今回はその実弟である山内賢さんとの共演となりました。


小林夕岐子さん登場場面

小林夕岐子さんが登場するシーンまでの大まかなあらすじを紹介しますと、


――ミュンヘンオリンピック代表選手の選抜を兼ねた全日本選抜女子バレーボールリーグ戦で、宿敵・太洋紡との決勝戦を10日後に控えたジャガーチームは、ヘアピンサーブと円盤ボールを融合させた新兵器・サンダーボールを全選手がマスターすべく、猛練習に明け暮れていた。伴久美子は自らの青春をバレーボールだけに集中させていたつもりであったが、その一方で、今も心の片隅に残る和泉徹(山内賢)へのこだわりを振り切れずにいた。そんな迷いを見て取った松岡監督(竜崎勝)は久美子に、「お前の心の中にある腐った物を捨てて来い。それが出来るまで練習には来るな」と通告した。

会社の寮を離れて実家に戻り、しばらく自分の気持ちを整理しようとしていた久美子だったが、あるとき不意に母親(水戸光子)から、お遣いに行って来て欲しいと頼まれた。とある重役令嬢と婚約が決まっている徹の家に、お祝いの品を届けてほしいというのである。一瞬戸惑いながら、言われるとおりにお祝いを持って徹の家を訪ねる久美子。


・・・といった流れです。実は久美子の母がこんなお遣いを頼んだのは、久美子に気持ちの踏ん切りを付けさせようという意図からでしたが、実際のところは久美子のことが心配で、徹の家(材木店を営んでいる)の近くでこっそり彼女の様子を窺っていたのでした。やがて、玄関から久美子と、徹と一緒に和服姿の美しい女性(=小林夕岐子さん)が出て来て、挨拶を交わします。


徹「久美ちゃん、どうもありがとう」

女性「お母様によろしくお伝えくださいね」

久美子「はい、申し伝えます」

徹「今度の試合、頑張れよ」

久美子「ええ」

女性「ちょうど私たちのお式の日にぶつかるんで応援に行けませんけれど、必ず勝ってくださいね」

久美子「はい、必ず。・・・お幸せに」

徹「ありがとう」

久美子「さよなら・・・」


和泉家を後にして歩いている久美子の目には、やがて涙が溢れてきます。公園のベンチに腰掛けて、涙を押し殺していると、彼女の肩に手を置く者がありました。久美子の母です。「・・・母さん、残酷だったかね。辛かったろう」。久美子は首を振ります。「でも、やっと決心がついたわ。徹さんのお嫁さんになる人を見て・・・」

ここで、和泉家での久美子と徹、そして婚約者の女性とのやり取りが回想シーンとして挿入されます。座敷で待っている久美子。結納の目録が目に入り、久美子の顔に複雑な表情が浮かびます。やがてそこに徹が入ってきます。


徹「やあ。元気かい」

久美子「ええ。母の代理で参りました。この度はおめでとうございます」

お祝いを差し出す久美子。そこへ、和服姿の女性がお茶を運んできます。赤い帯に大きな鶴の刺繍が印象的。膝をついて、久美子に丁寧にお辞儀をします。

女性「いらっしゃいませ」

久美子「お邪魔してます」

徹「あ、紹介しよう。(女性を示して)高野かおりさん。(久美子を示して)伴久美子さん」

女性「バレーの試合でよく存じてますわ。通称、バンビさんですね」

久美子「ええ、どうぞよろしく」

女性「こちらこそ。どうぞごゆっくり」


女性は戻っていきます。


・・・ここで再び公園の久美子と母親のシーンへ。久美子が自分にも言い聞かせるような口調で母親に語ります。「重役のお嬢さんだなんて言うから、どんな嫌味な人かと思ったら、とっても感じのいい人だったわ。この人なら徹さんを幸せにできる、そう思ったら、気持ちがスッキリしたの」

「そうかい、良かったよ、お前の気持ちがスッキリしてくれて」「そのためにお遣いにやったんでしょ?」「知ってたのかい」母の言葉に久美子は笑顔で頷き、立ち上がって言います。「母さん、何か食べよう」「そうだね、何がいいかね」久美子の心中を思ってかちょっと涙ぐんでいる母ですが、特大のおしるこを好きなだけ食べたいという久美子に「おやおや、お前に特大を好きなだけ食べられたら、母さんは破産だよ」と笑ってみせます。久美子も晴れやかな表情で思い切り声を上げて笑います。このシーンで見られる大田黒久美さんの高笑い(?)は本当に可愛くて最高です。

小林夕岐子さん演ずる高野かおりの落ち着いた立居振舞いや物腰の柔らかさは、久美子が心に引きずっていた徹への未練を、何ともあっけなく、しかし清々しい形で振り払ってしまいます。久美子をして「重役のお嬢さんだなんて言うから、どんな嫌味な人かと思ったら、とっても感じのいい人・・・この人なら徹さんを幸せにできる」とまで言わしめた素晴らしい女性です。こんなキャラクターをごく自然に演じてみせる小林夕岐子さんは、外観だけでなく本当に心の底から美しい方なのだなあと思います。

久美子がチームに復帰して、その後のストーリーは、ジャガーチームの村山真里(中山麻理)を母親と対面させるために奔走したチームメイトが、思いがけずアマチュア規定に抵触して出場停止処分を受けそうになったりする一幕を経て、ジャガーvs太洋紡の宿命の対決へ。しかし、試合は意外とあっけなく(?)ジャガーの一方的な勝利でした。優勝旗授与のシーンと並行して、結婚披露宴を終えた和泉徹・かおり夫妻が式場を後にしてハイヤーで出発するシーンが挿入されます。ここでの小林夕岐子さんは爽やかな白のワンピース姿でした。そして、オリンピック代表選手として久美子ほかジャガーと太洋紡の主力メンバーが選ばれ、全国民の期待を背負ってミュンヘンへ・・・というラストです。


作品データ

スタッフ
脚本・池田一朗 監督・土屋統吾郎

キャスト
大田黒久美/竜崎勝/中山麻理/皆川妙子・伊藤めぐみ・西恵子/林マキ・山田はるみ・早乙女ゆう・田中智子・夏川圭・田中真理・臼間香世/いぬいなおみ・柴田昭子・久保章子・照井久美子・二階堂清子・伊東幸子・杉之間静子/十勝花子・西条康彦・木村豊幸・小林夕岐子・高橋信子・花田豪・矢野間啓二/杉江廣太郎・堺左千夫・人見明/夏八木勲・三条美紀/山内賢・島かおり/柳永二郎・清水将夫/水戸光子

主題歌CD音源紹介

ミュージックファイルシリーズ/MFコンピレーション
超空想オリンピック

コロムビアミュージックエンタテインメントB0002ADGS6
2004年7月21日発売、税込2,415円

★いぬいなおみさんが歌う本作の主題歌「ワン・ツウ・アタック!」「青春の丘」を収録しています。




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