ウルトラ情報局2004年7月号


CS放送ファミリー劇場で放送されているウルトラシリーズのナビゲート番組「ウルトラ情報局」。司会は「ウルトラマンコスモス」のアヤノ隊員役・鈴木繭菓さん。毎回、その月に放送されるエピソードの解説やイベント・グッズ紹介等と共に、作品に縁のあるスタッフやキャストをゲストに招いてのトークコーナーがあります。このゲスト人選がかなりマニアックなので時々チェックしてはいましたが・・・まさか小林夕岐子さんがゲストで来られるとは全く想像もしていませんでした。いくら「アンドロイド0指令」が放送される月といっても、何十年もメディアの前に姿を現すことのなかった方ですので、メールや掲示板で情報を頂いたときは、冗談抜きで「これは夢か」と思いました。


歴史的瞬間
情報を頂いた翌日(2004年6月24日)に早速リピート放送がありましたので、HDD/DVDレコーダを録画セットして食い入るようにテレビの前で見ました。当月放送予定エピソードの紹介が終わって、繭菓さんがおもむろにチブル星人のソフビ(ビリケン商会製)を取り出し、「沖縄では頭の良い人のことを“チブラー”と言うそうです」とトリビアを披露した後、「アンドロイド0指令」のタイトルバックと共にお馴染みの「セブン」TVサイズ主題歌イントロが流れ・・・「さあ、今回は『アンドロイド0指令』のエピソードから、素敵なゲストをお招きしました!」

「皆さん、こんにちは! 『アンドロイド0指令』で、アンドロイドの少女ゼロワンをさせて頂きました、小林夕岐子です。よろしくお願いします」

視聴者に向かってご挨拶される小林夕岐子さん。数十年の時を経てまさしく現在の番組にあの「アンドロイド少女」が登場したのだと感慨が溢れてきました。実はメールで情報を頂いた時、ネットで検索してみたら既に画像をアップしているサイトがあって、小林夕岐子さんのお姿はそこで拝見済みだったのですが、動く(今の)小林夕岐子さんを観た時の衝撃は忘れられません。今も変わらぬ美しい姿に驚きました。

そして、ウルトラ警備隊マークをバックにしたセットでトークコーナーが開始。テーブルの上には先ほどのチブル星人ソフビが置かれています。小林夕岐子さんは終始おだやかに、時折り大きな身振り手振りも交えながら、丁寧な言葉づかいで上品に受け答えされていました。また、トークの中で適宜「アンドロイド0指令」の該当部分の映像も挿入され、内容を補完する効果を上げていたと思います。


インタビュー採録
活字化するにあたって、意味を変えない程度に、若干手を加えました。鈴木繭菓さんの発言を水色で、小林夕岐子さんの発言を黄色で表記します。


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―― それでは小林さん、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

―― 早速なんですけれども、小林さんが「アンドロイド0指令」に出演されることになったきっかけというのはどういうことだったんですか?

そうですね、きっかけは・・・東宝の俳優養成所を卒業しまして、東宝に入りまして、それから初めて頂いた作品、お仕事がこちらの「アンドロイド0指令」でした。

―― そうなんですか。東宝の中でも一番の美女だということで・・・

とんでもございません、恥ずかしいです・・・(笑)

―― ゼロワンには美女でないといけないということで小林さんが選ばれたそうなんですけれども・・・

まーまーまーまーお恥ずかしいです、あはは(笑)

―― あの衣装もとっても印象的でしたけれども、ゼロワンの小道具や衣装はどうでしたか?

そうですね、ウィッグ(かつら)も金色で、お洋服も金色で、ストッキングも靴も全部金色だったので、私は本当に気に入りまして、毎日の撮影がとても楽しみでした。

―― 人形も出て来るじゃないですか、あのお話の中で。とてもよく似てますよね。

ええ、あれは私の顔の上に石膏を塗りまして、それで固めて、私の顔で作りました。

―― 本当に石膏で・・・

顔に、確か・・・昔のことなので確かでないかも知れませんけれども、確かこういう風に石膏を顔に塗っていった覚えがあります。

―― それで型を取ってあんなにそっくりになった・・・

そうですね、とても私にそっくりで、嬉しかったんですけれど、出来上がるまではその石膏の中の顔がとても熱くなりまして、それがちょっと辛かったです。

―― 大変だったんですね。あのお人形さんにも小林さんが被ってらっしゃったウィッグと同じものを被せた・・・

そうです。ですからもうそっくりになりました。その後そういう(石膏を作るという)経験がなかったので、とてもいい思い出になりました。

―― そうですか。小林さんは最初、ゼロワンという役をどのように捉えてらっしゃいましたか。

そうですね、ゼロワン・・・私は台本を頂いて、ゼロワンという役を見てとても好きになりましたので・・・衣装も好きなゴールドでしたので。何も難しくなく、すんなり自然に入っていけましたので、あまり苦労はしなかったんですよ。

―― でもアンドロイドって言うと、今では色んな映画とかにも出て来ていますけど、当時って言うと、そういうものってあんまりなかったですよね。

そうですね、あまりなかったですね。今になればその後たくさんありましたけれど、その時はそういうことも考えずに、素敵な役を頂いて嬉しい、と思いました。

―― でも、想像もつかないじゃないですか、どういう風に演じようとか?

うーん、そうですね、でも不思議なことに、金髪を被りまして衣装を身に着けますと、自然にゼロワンになった感じがしますので、後はもう監督さんのおっしゃるとおりに。

―― その撮影現場なんですけど、最初のシーンはナイトシーンだったじゃないですか、どんな感じで撮影されたんですか?

そうですね、最初のシーンは確か・・・銀座の表通りじゃなく、裏通り・・・みゆき通りか、どこだったんでしょう、裏の通りだったんですけれど、そこで撮影をいたしました。

―― 銀座のその通りのほかにも、デパートが出て来ますよね。

そうなんですよ、確か銀座の松屋だったと思います。それで撮影を夜、いたしました。そう・・・怖い感じがしました。

―― 怖そうですね、想像しただけでもちょっと・・・。

そうですね。昼間の煌々とした明るいデパート、人がたくさん歩いているデパートとは表情が全然違いますのでとっても怖い・・・という感じです。・・・今思いますと、本当に何十年、数えますと何十年前ですので、(記憶が)薄くなっているところもありますし、よーく覚えていることもあって、セリフで「皆様にお知らせします。今夜0時よりアンドロイド0指令が発令されます。もうしばらくお待ちください」・・・それは時々、不思議なことに思い出すんですよ、セリフを。

――― ホントですか!すごいですね。

そのセリフは本当に時々思い出しますので・・・不思議です(笑)

――― 「アンドロイド0指令」が出来上がって、観てからはどんな風に思われましたか。

そうですね、観てからは、この作品に出させて頂いて良かったー!と思いました。ゼロワンをさせて頂いて良かったー!と思いました。

――― 小林さん以外にはゼロワンは出来ないくらい・・・

いやーそんなことはないんですけれど・・・嬉しいです、はい。

――― アンドロイドの少女の役を演るコツというのを私に教えて頂けますか?

コツですか?コツは・・・さっきお話ししたように自然に入ることが出来ましたので・・・。でも後は、あまり人間的じゃなく、表情もあまり作らないように・・・そんな感じで演じようかしらと思いました。

――― 走ってるシーンも特徴があったじゃないですか。あれも表情一つ変えないで・・・

そうですね、人間ではない、表情を作ってはあまりいけないんじゃないかしらと思いまして・・・

――― 走り方とかも気をつけて・・・?

そうですね、見てますと、思い通りには行きませんでしたけど、ロボットのように走りましょうとは思いました。

――― ロボット、今の私たちには想像できることですけど、小林さんは本当に大変だったんじゃないかなと・・・

でも、おっしゃられることとは違って、本当に自然で、ゼロワンが好きになりましたので・・・台本で。だからそのままスッと入れました。ゼロワンのおかげです。

――― 小林さんとゼロワンは本当にセットみたいな・・・そのままなんですね。

はい、もう忘れられない・・・忘れられませんね。

――― 今でもきっとスーッとなれるんでしょうね。

今では・・・何十年か経ったゼロワンということで・・・なれるんでしょうか(笑)

――― (笑)ありがとうございます。あの、小林さんは円谷英二監督にもお会いされてるんですよね。

ええ、この作品ではお会いすることは出来なかったんですけれども、この後の、東宝のゴジラの『怪獣総進撃』という映画で、それで私、映画でデビューさせて頂きましたので、その時に特撮・・・あちらは特撮なさってて、こちらは本編ということで別で撮影してますので、それでご挨拶に伺いまして、お会いできました。・・・そうですね、今になってみますと、特撮の映画は今でも再度作品を上映したり、今回の「アンドロイド」でもなさっているので、小さいお子さんとか、「観ました」とか言われるので、嬉しいです。

――― そうですよね、世代を超えて今のお子さんも、こうやってファミリー劇場で観ることが出来るんですよね。

そうですね。

――― では最後に、小林さんにとって『ウルトラセブン』「アンドロイド0指令」とは何ですか。

そうですね、「アンドロイド0指令」とは・・・。私の本当に素晴らしい思い出と、それから何十年経っても今こうやって「アンドロイド0指令」、ゼロワンのお話をさせて頂けるということは、私にとって本当に大切な宝物になりました。

――― そうですか、本当に素敵な作品に、アンドロイドにぴったりの小林さんでしたけれども、今日は本当にありがとうございました。

ありがとうございます。


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(ここで一旦、商品情報やイベント情報コーナーに移り、番組の終わりにもう一度インタビュー場面に戻りました)

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――― 小林さん今回は素敵なお話をどうもありがとうございました。

こちらこそ。

――― 最後に、ファミリー劇場で『ウルトラセブン』をご覧になる皆さんにメッセージを一言お願いします。

はい。皆さん、「アンドロイド0指令」、金髪の少女ゼロワンをお楽しみください!

――― 小林さん、今日は本当にありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

――― みんなも「アンドロイド0指令」、楽しみにしててくださいね!


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最後に、インタビュー内容で印象に残った点をいくつか箇条書きしておきます。

東宝入社後の初仕事
「アンドロイド0指令」が東宝に入社して最初の仕事だった・・・とのことですが、実際にはその前に映画出演が何本かあります。小林夕岐子さんが東宝に正式に入社されたのが1967年3月(「近代映画」1968年5月号)。映画出演作については、1966年の『お嫁においで』はクレジットがありますが、1967年の出演作(『落語野郎・大爆笑』『佐々木小次郎』『南太平洋の若大将』『でっかい太陽』)は全てノークレジットです。よって、名前がクレジットされた作品を東宝入社後の初仕事と捉えれば、「アンドロイド0指令」(1967年11月26日)がそれに該当するということでしょう。小林夕岐子さんご自身が「アンドロイド0指令」をそのように位置付けておられるということが今回判りました。また、ご本人の認識では映画でのデビュー作は『怪獣総進撃』であるということも明らかになりました。

石膏型を取って作られたマネキン
「ゼロワンのマネキン人形は本人の顔から石膏型を取って作られた」という点。劇中で登場するこのマネキン、確かに顔の輪郭や鼻の形が小林夕岐子さんに生き写しで、良く出来てるなとは思っていましたが、本当に本人の顔から型を取っていたとまでは思いませんでした。目の形がかなり異なるので、全体をパッと見た印象ではあまり似ているように見えないのですが、これはちょうど、初代ウルトラマンCタイプから型を取って作られた「帰マン」のマスクが、目の形の相違のため全く別物に見えるというような感じでしょうか。

ゼロワン役が本当に好きになった
アンドロイドという、それまで前例のない異色のキャラクター役としてオファーが来た時、どんな気持ちだったか、またどんな気持ちでゼロワンを演じておられたのかは、とても興味ある点でした。最初は戸惑っても無理はないと思いますが、ご本人いわく、台本を読んですぐに、衣装も含めてこの役がとても気に入った、と強調しておられたので、意外な印象を受けたと同時に、ファンとしては嬉しく思いました。本人がノリノリで演じていたからこそ、ゼロワンが今なお強く印象に残るキャラクターとして結実したと言っても良いでしょう。

今でも思い出すセリフ
「お客様にお知らせします。午前零時の時報とともに・・・」あのセリフは今でも時々思い出すことがある、とおっしゃっていましたが、小林夕岐子さんにとって、今なおゼロワンのキャラクターが身に染み込んでいるという一面を見た思いです。視聴者にとっても忘れられないセリフですが、やはりご本人にも強く印象に残っていたのですね。

大切な宝物
今回のインタビューで、ファンとして最も嬉しかったのは、小林夕岐子さんが「・・・『アンドロイド0指令』は私の素晴らしい思い出、何十年経っても今こうやってゼロワンのお話をさせて頂けるということは、私にとって本当に大切な宝物になりました」とおっしゃっていたことです。小林夕岐子さんがゼロワン役を今も大切に自分の誇りとしてくださっているということは、初めてゼロワンをテレビで見て以来ずっとファンであった私(たち)にとって、ゼロワンの魅力がご本人の言葉で更に裏づけされたような気がして、本当に胸が熱くなる思いでした。ゼロワンのファンで良かった!小林夕岐子さんのファンで良かった!と実感した瞬間です。


2004.9.5




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