水戸黄門漫遊記


シナリオ表紙。「東海道の巻」という副題はなくなります。

公開年 脚本 監督 出演者
1969年 笠原良三 千葉泰樹 森繁久弥・宝田明・高島忠夫
・池内淳子・三木のり平・コント55号

本作の公開は昭和44年11月1日。同時上映は『日本一の断絶男』で、小林夕岐子さんの同期生である高橋厚子さんが準主演級で出演しています。しかし・・・なんとこの『水戸黄門漫遊記』では小林夕岐子さんはノークレジット出演でした(後輩にあたるオール東宝ニュータレント7期の中川さかゆさんのクレジットはあるのに)。

当然、宣伝資料などにも小林夕岐子さんの名前はなく、当時この映画を見た方からの「水芸人の娘役か何かで小林夕岐子さんと菱見百合子さんが出ていた(と思う)」 という情報だけが手がかりでした(クレジットもないのに小林夕岐子さんの出演シーンを覚えておられたという辺りが流石)。

幸い、ある方のご協力により本作のビデオ(地上波テレビ録画)を入手することができ、間違いなく小林夕岐子さんが出演されていることを確認することが出来ました。ただ、菱見百合子さんの方はこのビデオだけでは何とも断定が出来ませんでした。


小林夕岐子さん出演場面

さて、小林夕岐子さんは情報通り、旅芸人の太夫・沢井桂子さんが連れている娘役者の一人として出演されていました。ちなみに、沢井桂子さんの演じた太夫はシナリオでは「片岡お雪」という名前でしたが、本編ではこの名前は使われませんでした。

水戸の百姓に身を隠した黄門光圀(森繁久弥)らの一行が泊まっている御油の宿の一室。先に一風呂浴びてきた黄門が、助さん(宝田明)、格さん(高島忠夫)にも「今のうちに入って来なさい」とすすめます。黄門が部屋で煙草をふかし一服していると、突然、隣室から声を忍んで泣く女の声が聞こえてきます。

「どうしよう、どうしよう、どうしょいぞいのう・・・!」

「・・・こんな難儀に遭うよりはいっそ、死んでしまいとうございまするわいなあ・・・!」


「わかる、わかる、そなたたちの気持ち、この太夫とて同じじゃわいなあ・・・」

「太夫様、三人一緒、一思いに、心中いたしましょうわいなあ・・・・・」


このうち、「・・・・こんな難儀に遭うよりは・・・」というセリフが小林夕岐子さんの声のようです。これを聞いて放っておけず、黄門がガラッと障子を開けると、太夫の沢井桂子さんの右隣にいるのが小林夕岐子さんです。黄門と太夫の問答の間、小林夕岐子さんはさめざめと泣き濡れているだけで、セリフはありません。

そのあと、太夫たちを夜伽に出せという興行の親分が怒鳴り込んできて、黄門たちと、たまたま同じ宿に泊まっていた「ニセ黄門」も巻き込んで大騒動。小林夕岐子さんは沢井桂子さんと一緒にバタバタとあちこち逃げ回ります。「ニセ黄門」の活躍?で一件落着し、助けてもらったお礼を言うシーンでは沢井桂子さんの左隣りに座っています。ここでもやはりセリフはありません。


追記・役名について

東宝の「劇場宣伝心得帳」昭和44年11・12月合併号に、本作のキャスト・役名が掲載されていました。それによると、小林夕岐子さんの役名は「娘役者二」。ちなみに「娘役者一」は木村由貴子さん(ニュータレント8期)で、この資料には菱見百合子さんの名前はありませんでした。また、本作の「かいせつ」では、「・・・また、幕府の隠密として千変万化の大活躍をする池内淳子を中心とした草笛光子、沢井桂子、小林夕岐子の女優陣のお色気もたっぷりで東宝がひさびさに放つ“笑いの時代劇超大作”です」という記述がありました。これを見ると、ますます本編での小林夕岐子さんの扱いについて謎が深まります。




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