ゲゾラ ガニメ カメーバ
決戦!南海の大怪獣


DVDジャケット(発売元・東宝ビデオ)

公開年 脚本 監督 出演者
1970年 小川 英 本多猪四郎 久保 明・小林夕岐子・高橋厚子
土屋嘉男・佐原健二・斉藤宜丈


ストーリー紹介

《小林夕岐子さん出演場面紹介》

【1】リコを気遣うサキ 【8】コウモリ探し
【2】海中調査 【9】生きていた小畑
【3】島民の祈り〜ゲゾラ襲来 【10】洞窟内での食事
【4】ゲゾラもえてる! 【11】宇宙生物の力
【5】ガニメ出現 【12】アヤ子の説得
【6】わたし、けっこんします 【13】ガニメ対カメーバ
【7】結婚式〜記憶を取り戻したリコ 【14】エンディング

予告編解説


怪獣ブームが下降線を辿っていた時期に、あえてゴジラ以外の、しかも実在生物の巨大化怪獣という地味なキャラクターで勝負した作品。しかし、その正攻法で真面目な演出により、派手さこそないものの、現在の水準で見ても決して遜色ない出来に仕上がっていると思います。怪獣の造形技術に関しては、一つの極致に達しているとさえ言えます。


ストーリー

3年半後に地球に帰還予定の木星探検無人ロケット・ヘリオス7号が、打ち上げ4ヶ月後に突然消滅。フリーカメラマン・工藤太郎(久保明)は、南米からの帰路に、洋上へ落下するヘリオスを目撃した。

工藤は帰国後、アジア開拓株式会社の星野アヤ子(高橋厚子)から、会社が極秘に進めているセルジオ島レジャー開発の宣伝写真を依頼される。ヘリオスの落下地点とセルジオ島の位置が符合することと、旧知の宮恭一博士(土屋嘉男)から聞いた島の怪物伝説に興味を持った工藤は、アヤ子、宮博士と共にセルジオ島へ。途中、世界風俗研究所所長を名乗る小畑誠(佐原健二)と合流する。

セルジオ島では、アジア開拓の駐在員・佐倉(大前亘)が巨大なイカの怪物に襲われるという事件が起きていた。ゲゾラという怪物に怯えて祈りを捧げる島民たち。島の青年・リコ(斉藤宜丈)と一緒に工藤らの一行を迎えた駐在員・横山(当銀長太郎)は、ゲゾラについては口をつぐんでしまう。

島の調査を開始する一行。大洞窟で怪しい光を目撃し、水中から佐倉の腕時計が放り出された。それを見て半狂乱になった横山は、一人で島から脱出しようとするが、海からゲゾラが出現。横山を襲ったゲゾラは続いてリコを狙うが、そこにコウモリの群れが現れた時、不思議なことにゲゾラは海中へと逃げていった。

工藤ら一行は、ゲゾラ襲撃のショックで記憶喪失となったリコを連れて、彼の恋人・サキ(小林夕岐子)と一緒に島民の部落へ移動。そこで小畑は、倒壊したアジア開拓の駐在所から極秘のレジャー施設計画書を持ち出したことを工藤に暴かれ、自分が産業スパイであることを白状する。

翌日、工藤と宮博士は島の近海を調査し、海中でヘリオスを発見する。そこへゲゾラが出現、二人を襲撃するが、イルカの群れが近づくと、ゲゾラはこれを避けて島へ上陸。ゲゾラは部落を蹂躙するが、広場のかがり火を極度に恐れた。ゲゾラの弱点が熱だと察知した工藤らは、島民と協力してガソリンと銃でゲゾラを攻撃、全身を焼かれたゲゾラは海中に逃れ息絶えた。

第二次大戦中、島に駐留していた旧日本軍が残していった武器や弾薬を入手した一行は、島民と共に島の守りを固めるが、その夜、今度はカニの怪物ガニメが出現。弾丸をはね返すガニメに一行は苦戦を強いられるが、工藤の機転で弾薬庫もろともガニメを爆破することに成功する。

一方、島から逃げ出そうとしていた小畑は、ガニメの死体から抜け出したアメーバ状の宇宙生物に体を乗っ取られてしまった。地球征服を企む宇宙生物は、小畑に「我々の敵を倒せ」と命令する。

混乱の中、リコとサキの結婚式が行われる。リコはカメラのフラッシュを浴びた時、ゲゾラの眼を思い出して錯乱するも、それによって失っていた記憶を取り戻した。コウモリが来てゲゾラが逃げた、というリコの話と、海中調査の時にはゲゾラがイルカを嫌ったことから、宮博士は、宇宙生物の弱点が超音波であると判断する。

一同は、コウモリを求めて島を探索。しかし、行く方々でコウモリは何者かの手によって焼き殺されていた。コウモリを探し回る工藤とアヤ子の前に、カメの怪物カメーバが出現するが、二人が咄嗟に逃げ込んだ洞窟でコウモリを発見。一同はコウモリが逃げないように洞窟にふたを付ける。

そこへ突然、小畑が姿を現し、工藤らと一緒に寝泊りすることに。翌日、小畑は一同の隙を突いて洞窟内のコウモリに火を放とうとした。小畑の口を借りて、彼に憑依した宇宙生物が地球征服の野望を一同の前で語る。常人を超越する力を持った小畑に、工藤たちは為すすべもない。だが、アヤ子の必死の説得が小畑の人間としての心を動かし、小畑は体内の宇宙生物に意思の力で対抗、苦しみながら洞窟のふたを取り、コウモリを外へ放った。

一同を包囲していた2匹目のガニメとカメーバは、コウモリの超音波で発狂し、同士討ちを始める。火山のふもとで死闘を続ける二匹は、やがてもつれ合いながら火口へと転落していった。小畑もまた火口へ身を投げ、自らの体を道連れに最後の宇宙生物を抹殺した。

イルカとコウモリと人間の地球生物連合軍が宇宙生物を撃滅・・・この話を世界の人たちが信じてくれるかな、と笑う工藤たち。火山の噴火に気づいて、島へ近づいた日本の船に、一同は手を振るのだった。


小林夕岐子さん出演場面紹介

小林夕岐子さん演じるセルジオ島の娘サキは、登場場面が多い割に、セリフはそれほど多くありません。また、ほぼ全編にわたってリコ(斉藤宜丈)と二人で映っています。それにしても、端麗な美人・小林夕岐子さんにドーランを塗って島の原住民を演じさせるというキャスティングの妙。エキゾチックな小林夕岐子さんと、少し天然系?のお姉さんを演じる高橋厚子さんのWヒロインが好対照をなしています。高橋厚子さんは終盤、宇宙生物に憑依された小畑(佐原健二)を説得するシーンの大熱演が特に印象的でした。


【1】リコを気遣うサキ
ゲゾラに襲われて負傷したリコ(斉藤宜丈)と工藤(久保明)らの一行の前に、サキ(小林夕岐子)が駆けつけて来るシーン。

「リコ!」

駆け寄って何度も呼びかけますが、リコの目はうつろです。涙を浮かべながらサキは現地語で必死にリコに呼びかけます。

「オナツトツ、エン、エティアナキン!オニワノオキク、オナテルサオサキ!」

大体こんな感じに聞こえますが、正確には分かりません。工藤が「とにかく、どこかへ運ばないと」と言うと、サキは

「わたし、しってます」

と日本語で答えます。セルジオ島には戦時中に日本軍が駐留していたため、島民は日本語が達者という(都合のいい)設定。

サキの案内で部落へ向う一行。自らも荷物をしょって、先頭をすたすたと歩きます。島民はゲゾラを怒らせた日本人を呪い、祈祷事を始めます。小屋にリコを運び込み、手当てをするサキ。工藤と小畑(佐原健二)がホテル建設の極秘資料を盗んだことについて口論していますが、サキはそんなこと構わずにリコに付きっきりです。


【2】海中調査
セルジオ島近海の海中調査を行う工藤と宮博士(土屋嘉男)。二人が調査に向った辺りを岸壁で見つめているサキとリコ、そしてアヤ子(高橋厚子)と小畑。例の祈祷事は日本人への嫌がらせだ、と言う小畑を、サキがキッと睨み付けます。そこへ島の祈祷師・オンボ(中村哲)が現われ、「悪魔と一緒にいてはいけない。来なさい!」と言ってサキとリコを連れ帰ろうとします。


【3】島民の祈り〜ゲゾラ襲来
記憶をなくしたリコを治すため、彼を囲んで島民たちが祈りを捧げます。サキも不安そうにその輪の中にいます。そこへゲゾラが襲来し、島民たちは逃げ惑いますが、リコは腰が抜けて(?)動けません。サキが一生懸命に避難させようとしますが、一人ではなかなか動かせません。うんうんと必死に彼を持ち上げようとするサキの姿はちょっとユーモラス。結局、アヤ子の力を借りてなんとか避難させます。


【4】ゲゾラもえてる!
ゲゾラに部落が破壊され、高台に避難した島民たちが泣き崩れるシーン。サキも思わず叫びます。

「みんなしぬ!みんな!」

そこへ海中調査から戻った工藤と宮博士が合流。「かがり火でやけどしたとき、あの怪物はすごく慌てていました」というアヤ子の言葉をヒントに、島にあったガソリンと銃を使ってゲゾラを攻撃します。攻撃が成功し、炎に包まれるゲゾラ。それを見て、サキも

「ゲゾラもえてる、ゲゾラもえてる!」

と喜んでいます。


【5】ガニメ出現
夜の海岸線。ゲゾラを倒した島民たちは、旧日本軍の武器を使って島の警備を固めます。しかし宮博士は不安を隠せません。「あれがただの化け物イカなら、これで安心できるんだがね・・・」。宮博士に本当の考えを尋ねるアヤ子。サキとリコも、後ろでそんなやり取りを聞いています。

海面に不気味な閃光が浮かび、海からガニメが出現。島民を山の上に避難させる宮博士と工藤。サキはリコの手を引いて逃げますが、途中息切れして立ち止まってしまいます。宮博士に「あと一息だ、早く!」とせかされ、頑張ってまた走り出します。


【6】わたし、けっこんします
爆発四散したガニメの死骸を分析し、地球のカルイシガニに宇宙生物が乗り移ったのだと結論づける宮博士。しかし、弾薬庫はガニメと共に爆破してしまったので、もう武器は残っていません。弱気になるアヤ子に、あきらめてはいけない、と諭す工藤と宮博士。そんな彼らの前に、リコを連れてサキが現れ、唐突に、

「わたし、けっこんします。わたし、リコをきっとなおします。こんや、けっこんしきします!」

と電撃発言!をします。それでもうろたえることなく祝福の言葉を贈る一同。しかし、記憶喪失状態のリコからは反応がありません。


【7】結婚式〜記憶を取り戻したリコ
結婚式。豪華な婚礼衣装に身を包んだ二人が、島民の拍手に迎えられて祭壇に向います。サキは銀ラメの入った長袖と、厚手のロングスカートを着けています。工藤が焚いたカメラのフラッシュを見てゲゾラの恐怖を思い出し、その場を飛び出してしまうリコ。彼を追いかけて、やっと追いついたサキが呼びかけます。

「リコ!」

記憶の戻ったリコ。「…サキ!」

「わたし、わかる?わかるのね!」

歓喜にあふれた表情でリコを抱き起こすサキ。

「リコ、きがついた!」

本作でサキがようやく心の底から笑顔を見せてくれた瞬間です。その後リコの話から、宇宙生物の弱点がコウモリであることが分かり、リコとサキも含めて一行は結婚式そっちのけでコウモリ探しに出発してしまいます。


【8】コウモリ探し
宇宙生物の弱点であるコウモリのすみかを探して島の洞窟を探索する一行。リコとサキはいつのまにか普段着に着替えています。しかし、初めに入った洞窟では、コウモリは既に焼き殺されてしまっていた。工藤が「みんなで手分けして探そう」と言うカットで、サキの顔がアップになりますが、このカットは本作でもっとも可愛らしい顔だと思います。


【9】生きていた小畑
工藤とアヤ子がカメーバから逃れて偶然逃げ込んだ洞窟でコウモリを発見し、洞窟のそばにしばらく移り住むことにする一行。サキが食事の仕度をしています。そこへふらっと現れる小畑。いぶかしそうな周りの目を気にする様子もなく、寝床にころんと横になります。


【10】洞窟内での食事
【9】のすぐ後のシーン。工藤・宮博士・アヤ子・リコ・サキが食事をしています。お皿に盛られた料理が何かは良く見えませんが、サキもスプーンでカチャカチャとかき回しています。ふと、工藤が「小畑君は?」と口を開き、「さっき、でていった」と答えるリコ。小畑はどうもカヤの外といった感じです。


【11】宇宙生物の力
体を乗っ取られ、宇宙生物の意のままに洞窟に火を放ってコウモリを焼き殺そうとする小畑。それを阻もうとする工藤ですが、恐るべき小畑の腕力によって投げ飛ばされてしまいます。小畑の口を借りて誇らしげに地球侵略の野望を語る宇宙生物。

「われわれの弱点を知った君らに生きていられては地球侵略の邪魔になる」という宇宙生物の言葉を聞いて、逆上したリコが小畑に飛びかかりますが、これまた簡単に投げ飛ばされてしまいます。「リコ!」とあわててリコに駆け寄るサキ。倒れているリコの傍らにしゃがみこむ姿を左側から撮っているので、サキのスカートが引っ張られてしまい(左側にスリットができるから)、もう少しでお尻が見えてしまいそう!という瞬間、カットが切り替わって小畑の顔のアップになります。


【12】アヤ子の説得
同じく、コウモリの洞窟の前でのシーン。マッチに点火しようとする小畑に対して、アヤ子は涙を浮かべながら必死に説得を試みます。

「小畑さん、あなた、悔しくないの!?・・・そんな、そんな怪物に支配されて、あなた、悔しくはないの!?・・・人間が、こんなことで滅ぼされるなんて、私は我慢できないわ小畑さん。どんなに卑怯で、どんなに手前勝手な人でも、あなたは人間よ、人間のはずよ!」

それだけ言うとアヤ子は感極まって泣き出してしまいます。予告編で「すこーしおヨワいお姉さん」と紹介されてしまうアヤ子ですが、このシーンの熱演は強く印象に残りました。最後の最後で主演ヒロインの面目躍如といったところ。サキたちはその後ろでじっと見守っています。後はもう、小畑の心が宇宙生物に打ち勝つことを祈るのみです。


【13】ガニメ対カメーバ
映画のクライマックス、二代目ガニメとカメーバの死闘。工藤、アヤ子、宮博士、サキ、リコのメインメンバーは高台から固唾を飲んで見守っています。強風が吹いているので、サキは頻繁にスカートの裾を押さえたり、長い髪を掻き上げたりしています。

ちなみに、本作のロケは八丈島で行われましたが、撮影時期は冬だったため、現地では何と雪に降られてしまったそうです(『宇宙船』Vol.52の田中文雄氏インタビューより)。よく見ると島民が厚着をしていたりするのはそのためです。『血を吸う人形』DVDのオーディオコメンタリーでは、あまりの寒さに大声で叫んでしまったことがあると小林夕岐子さんご本人がコメントされています。

『大ゴジラ図鑑2』(ホビージャパン)という本に、サキのコスチューム姿の小林夕岐子さんが、ガウンのようなものを羽織っているスナップが載っています。おそらく、アヤ子が宮博士に「何でしょう。イカでないとしたら」と尋ねるシーンのテスト中のスナップと思われます。髪をヘアピンで留めているのも分かります(劇中ではヘアピンは使用していません)。レコード「SF特撮映画音楽全集6」(キングレコード)のジャケット裏面、及び『宇宙船』Vol.119の60頁にも、同じようなカットのカラースナップが載っており、こちらは何も羽織っておらず、またレフ板が写り込んでいます。


【14】エンディング
火山爆発に気づいて汽笛を鳴らす日本の船に手を振る一行。サキは強風で乱れる髪を押さえつつ右手で小さく手を振ります。アヤ子は元気よく右手を一杯に上げて振っています。


予告編

予告編ナレーションを紹介します。陽気なゴーゴー音楽に乗せて、村越伊知郎氏(本編のナレーション及び宇宙生物の声も担当)のコミカルな語りが炸裂します。

遠い銀河の彼方からやってきた宇宙生物。何と地球の海中に乗り移った!それも三匹。ゲゾラ・ガニメ・カメーバ。コワイですねェー。迎え撃つは地球連合軍。と言っても、二枚目半のカメラマン、すこーしおヨワイお姉さん、渋い感じの生物学者、そしておトボケ産業スパイ。はるか南洋セルジオ島に展開するドッキドッキの物語!怪獣勝つか、人間勝つか!それはお楽しみ。見に来てね!

この作品は東宝チャンピオンまつりの一本として公開されたのですが、映画そのものは非常に真面目な作りなので、この予告編はちょっと違和感があります。



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