兄貴の恋人

「兄貴の恋人」半裁ポスター
半裁ポスター
公開年 脚本 監督 出演者
1968年 井手俊郎 森谷司郎 加山雄三・内藤洋子・酒井和歌子・
白川由美・岡田可愛・中山麻理

1968年は、7月13日に『リオの若大将』、8月1日に『怪獣総進撃』、9月7日に本作『兄貴の恋人』と、小林夕岐子さんの出演作が毎月封切りとなっています。本作での小林夕岐子さんは、白川由美さん・岡田可愛さんに次ぐスター順位となっています(本作でデビューした中山麻理さんの一つ上)。


ストーリー

北川節子(内藤洋子)は、兄・鉄平(加山雄三)の縁談になると眼の色を変え何かとケチをつけてくる。しかしそれは、兄を他の女性に取られたくないという節子の思いからであった。漫然と見合いを重ねる鉄平だが、やがて会社の元同僚で現在は叔父のスナックを手伝っている野村和子(酒井和歌子)にプロポーズをする。しかし、和子には複雑な家庭の事情があって、素直に受け入れてもらえない。兄の恋愛について口うるさい妹だった節子も、和子を思う鉄平の真剣な気持ちを知って、やがて二人を結びつけるために尽力するように・・・。


小林夕岐子さん登場場面の解説

さて、本作の小林夕岐子さんの役柄は、松岡船舶の重役の娘・岩本佐知子。主人公・北川鉄平とお見合いする役です。

鉄平の家族が、鉄平のお見合い相手・佐知子の写真をみんなで批評しているシーン。父・銀作(宮口精二)は、「ほお、なかなか美人だな」と感心していますが、例によって節子は「鼻の割に口が小さすぎるんじゃない?」とケチを付けます。母・加代(沢村貞子)が「鼻が高くて口が小さいから美人じゃないの」と言って聞かせますが、節子は「あら、そんなの美人かしら」と意に介しません。

さて、お見合い当日。佐知子は薄いブルーの和服姿、お庭で鉄平と並んで歩いています。鉄平が「お見合いの後いつも二人だけで話せっていわれるんだけど、何しろ生まれて初めてさっき紹介されたばかりですからね。何を話したらいいんだか」と切り出すと、佐知子は

「そんなに何度もお見合いをなさいましたの?」

と探りを入れ、まんまと乗せられた鉄平がつい「ええ、5度目。いや、今度で6度目です」と口走ってしまいます。

「じゃあ・・・この次がラッキーセブンですわね」

「ええ、そうかも知れません」とまた正直に答えてしまう鉄平。結局今回もお見合いは失敗に終わります。

その夜の北川家の食卓。「何べんも見合いしたなんて一々正直に答える人がありますか」と呆れている加代に、鉄平は「だって向こうは誘導尋問が上手いんだよ」と言い訳していますが、節子は 「そんな人奥さんにしたら何でもペラペラ白状させられちゃうから。へそくりだって浮気だって」と悪態をつきます。さらに「ね、鼻が大きくて口が小さかったでしょ?そういうの美人だと思った?」と問い詰めると、鉄平も「そういや、そんなに美人じゃなかったよ」と答えてしまいます。それを聞いてようやく満足する節子。それにしても、小林夕岐子さんの演じたキャラクターについて「そんなに美人じゃなかったよ」と言わしめたのは、この北川節子をおいて他にないのではないでしょうか・・・。

さて、本作の続編『二人の恋人』でも小林夕岐子さんは加山雄三さん演じる主人公のお見合い相手として登場します。そして、今度は加山雄三さんの弟役・高橋長英さんにケチをつけられてしまいます。


予告編について

映画予告編にも小林夕岐子さんはチラッと登場しています。冒頭でキャストを加山雄三・内藤洋子・酒井和歌子・東山敬司・・・と紹介した後、「兄貴の恋人は・・・?」というテロップと共に、本作のヒロインが次々に登場します。丁度、兄のお見合いが気になりつつも一心不乱にピアノのレッスンを受ける内藤洋子さんの場面。そこに、5人の美女の映像が挿入されます。順番に豊浦美子さん、小林夕岐子さん、白川由美さん、岡田可愛さん、中山麻理さん。ピアノを弾いている内藤洋子さんがこのとき気にかけていたお見合いの相手が、実は小林夕岐子さんでした。

お見合いのことが気になってレッスンに身が入らない内藤洋子さんを見て、ピアノ教師のロミ山田さんが「占ってみましょうか」とカードを取り出します。そのカード占いをしている様子に、小林夕岐子さんと加山雄三さんのお見合いシーンがダブります。予告編の映像もその部分が使われていますが、本編中は画面の右側に幻想的な合成がなされていたのに対し、この予告編では合成の素材となったフィルムがそのまま使われています(フレーム自体は同じ)。ちゃんとクレジットも出ますので、予告編だけ見るとかなり出番があるのかと思いきや、本編ではわずか30秒程度の出演でした。


テレビドラマ版(1970年)について

本作は1970年に夏木陽介さん・森和代さんのコンビによってテレビドラマ化されています(10月1日〜12月24日、各30分、全13話)。監督は映画版と同じ森谷司郎氏の他、大森健次郎氏、手錢弘喜氏。脚本は全て鎌田敏夫氏。ストーリーはセリフも含めて概ね映画と同じですが、一部キャラクターについては映画版よりもより深く掘り下げて描かれています(例えば西田京子)。映画『赤頭巾ちゃん気をつけて』のイメージが強烈な森和代さんがヒロイン役のせいか、作品そのものも『赤頭巾ちゃん』的なムードが漂いますが、映画版と共通するキャスティング(鉄平の父母、鉄平行きつけのバーのママ)もあり、どちらも甲乙付け難い佳作だと思います。参考までに、主な登場人物のキャスト対照表を作成しました。

役名 映画版 テレビ版
北川鉄平 加山雄三 夏木陽介
北川節子(鉄平の妹) 内藤洋子 森和代
北川銀作(鉄平の父) 宮口精二 宮口精二
北川加代(鉄平の母) 沢村貞子 沢村貞子
野村和子 酒井和歌子 松尾嘉代
野村弘吉(和子の兄) 江原達怡 村井国夫
小畑久美(節子の友人) 岡田可愛 徳永礼子
矢代健一(和子の幼友達) 清水紘治 高橋長英
水谷敏夫(節子の友人) 東山敬司 原田大二郎
玲子(バーのママ) 白川由美 白川由美
藍子・ジャクソン(節子のピアノ教師) ロミ山田 結城美栄子
中井緑(重役令嬢) 中山麻理 高林由紀子
西田京子(秘書) 豊浦美子 仙北谷和子



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