プロゴルファー祈子
第21話「友情そして勝利」


ストーリー
剣二(萩原流行)の追跡を逃れて必死に走る祈子(安永亜衣)と信也(風見慎吾)。林の中で、再び剣二が二人の前に立ち塞がった。5番アイアンを奪い取り、信也を痛めつける剣二だが、祈子が隙を見て丸太で剣二に一撃を浴びせ、剣二は足を滑らせて崖から転落していった。

危機を脱し、出発しようとする祈子に信也は、剣二を助けに行くと言い出した。今なら命は助かる、と。祈子には理解できなかった。なぜ自分たちを何度も殺そうとした人間を助けるのか。だが信也は言う。どんなに自分が辛い時でも、他人の命を思いやる心を失ってはいけないと。それを聞いた祈子は、傷を負った信也に代わって自ら剣二を助けに谷底に下りていった。信也は一人でふもとの町まで戻ることにする。

剣二は気を失っており、左腕を骨折していたが、祈子が応急手当を施していた。やがて意識を取り戻した剣二は「なぜ俺を助けた!」と祈子を問い詰める。信也さんが助けろと言ったから、と素っ気なく答える祈子だが、知らず知らずのうちに自分がどんなに信也に惚れ込んでいるかを剣二に話していた。人の優しさを純粋に信じている祈子に、剣二も自分の少年時代を祈子に語り始めた。彼の父親はヤクザの下っ端で麻薬中毒、母親は飲み屋で働いていたが、殴り合いの夫婦喧嘩が絶えず、幼い剣二・冬子の兄妹は満足に食事も与えられない毎日だった。ある日、父親が車にはねられて死んだが、その車を運転していたのが丸元賢三(長門裕之)だった。慰謝料を受け取った母親は二人を置いて姿をくらましてしまった。残された剣二たちが餓死寸前になっていた所に、再び賢三が現れ、二人の生活の面倒を見て、高校まで出してくれたというのである。

剣二も他人の好意を受けて生きてきたことを知る祈子だが、剣二は否定する。賢三は決して人間として情けをかけたのではなく、忠実な猟犬に仕立て上げたのだと。そして祈子に警告した。「祈子、俺を助けたことを後悔するぞ。元の体に戻ったら、俺はまたお前を追って走り続ける。後悔したくなかったら今ここで俺を殺せ!」。だが祈子は首を振る。後悔などしない、人間として当然のことをしたのだからと。

夜になり、眠ってしまった祈子。剣二は祈子に焚き火の火を放とうと手を伸ばしたが、実行に移すことは出来なかった。剣二は祈子が毛布代わりにしているジャンパーをかけ直してやると、その場を立ち去った。翌朝、祈子は、引き返して来た信也と合流する。剣二が、眠っている自分を殺そうとはせず去ったこと、剣二の話を聞いて、彼が本当の悪人ではないと感じたことを信也に話す祈子。信也は祈子に言った。「野沢は君の中の光を見ることが出来たのかも知れない。だからきっと・・・」。

横浜へ戻って来た信也と祈子は、警察が3年前の事件の再捜査のために動き始めていることを知るが、そのためには何か決定的な証拠が必要であった。二人は迎えに来た順子(白島靖代)たちと一緒に、鏡子(土家里織)のアジトへ向かった。祈子と信也を迎えた鏡子は、これから面白いものを見せてあげる、と奥へ案内する。鏡子は昨夜、事件の手がかりを探すために丸元賢三の書斎に侵入して家捜ししていたが、その時、賢三が妙にパソコンを隠そうとしていた。あのパソコンには事件に関する重要なデータが入っていると鏡子は睨んだのである。そこで鏡子は大胆不敵にも、賢三のパソコンにハッカーを試みようとしていたのだ。果たしてそこには、事件の真相を解く鍵が隠されていたのである。


ミニガイド
神島祈子は今、暗闇の中に一条の光を見出しています。追い詰められたターゲットが、その全貌を現そうとしている。多くの人々を犠牲にして肥え太った人物の最後の悪あがき。でも、それを皆さんにお見せできるのは、4月13日の水曜日。来週再来週は特別番組のため「プロゴルファー祈子」はお休みです。皆さん、また4月13日にお会いしましょう。


MEMO
ドラマも終盤に近付き、ミニガイドでの祈子の語りにも緊迫感があふれていますが、後半で突然特別番組のお知らせに。「皆さん、また4月13日にお会いしましょう」には意表を付かれました。

高倉道夫(国広富之)の妻は数年前に病死しているが、その治療費や入院費を用立てたのが丸元賢三であった。高倉が賢三の支配下にあるのはその恩があるためである。だが、丸元にとって邪魔な存在である祈子に対してゴルフを教えるなど、高倉の心は変化しつつあった。

賢三の屋敷に忍び込み、3年前の事件の証拠を捜していた鏡子。書斎で賢三に発見された鏡子が、机に置かれているパソコンに目を留め、「このパソコン、おじさんのオモチャかい?叩き壊してやろうか!」と5番アイアンを振り上げた時、賢三は思わず身を挺してパソコンを庇ってしまう。鏡子はこのパソコンに、事件に関する秘密が隠されていることを察知。当時(1988年)はまだインターネットも一般化していないはずだが、外部からハッキングされるということは、丸元のマシンは当時にしては珍しく常時接続されていたのだろうか?

鬼怒川渓谷の山中で両手に凍傷を負い、病院に入院している冴子(大沢逸美)。医師から、両手指を切断しなければならないと宣告されて、祈子と約束したゴルフの勝負が出来なくなってしまう、と冴子は手術を拒む。しかし、徹(沢向要士)は冴子を根気よく説得し、この先ずっと彼女の力になることを約束します。

鏡子は仲間のミチという娘に指示して、賢三のパソコンへのハッキングを試みる。ミチは「国大(こくだい)の電子工学科でコンピュータを専攻していた」と鏡子に紹介されますが、本作の舞台は横浜なので、国大というのは横浜国立大学のことでしょう。

初出・2004年2月18日水曜日




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