プロゴルファー祈子
第20話「夢か?峽谷の特訓」


ストーリー
野沢剣二(萩原流行)の追跡を逃れて鬼怒川峡谷に身を寄せ、ゴルフの練習に打ち込んでいる祈子(安永亜衣)。信也(風見慎吾)と友人の高木(堀光昭)と一緒にホールを回っている。プロテストにトップで合格することを目指す祈子は、現状のスコアでは満足できず、実力が伸び悩んでいることに焦りを隠せなかった。

そんな祈子たちの所へ、徹(沢向要士)と冴子(大沢逸美)が駆けつけた。いつ剣二の手がここまで回るかも知れない、早く立ち去る用意をした方がいい、と徹は忠告する。その時、彼らの前にプロゴルファーの高倉道夫(国広富之)が姿を現した。高倉は、自分を訪ねて来た徹と冴子の会話から、祈子たちが鬼怒川にいることを知ったのだった。祈子は思わず高倉のもとに駆け寄った。「高倉さん、なぜあなたがここにいるのか、そんなことは今の私にはどうでもいいことです。私にゴルフを教えてください!」そう言って頭を下げる祈子に高倉は、「明日の朝6時、龍王峡へ来たまえ」と言い残して去って行った。 

祈子たちは、剣二の追跡を逃れるべく、冬寒の原生林に包まれた秘境、龍王峡のロッジに向かった。信也や徹は祈子と一緒に泊まるつもりだったが、祈子は、せめて10日間だけ一人にして欲しいと申し出る。どこまで孤独に耐えられるか、どこまでゴルフを極められるか、自分を限界まで追い詰めて、自分を試してみたいというのである。信也たちはそれを聞き入れ、祈子を残し一旦ホテルに戻ることにする。

翌日から、高倉による特訓が始まった。その日は雪深い谷川のほとりでドライバーショットの練習。高倉は祈子のフォームを見て的確に問題点を指摘する。祈子の場合、全体の力を10とすると、ダウンスイングからインパクトまでに7の力を使ってしまっており、インパクトからフォロースルーに3の力しか使っていない。これでは飛距離が出なくて当然で、これを逆にダウンスイングからインパクトまでを3、インパクトからフォロースルーまでを7としてヘッドスピードを上げること、これが飛距離を伸ばす鉄則であると。その夜、練習を終えてロッジに戻った祈子は、床に置いた蝋燭の炎の真上をスイングして、フォームの矯正に専念する。

翌日は、林の中で曲打ちの特訓。木の跳ね返りを利用したリカバリーショット、片足打ち、片手打ちなど、高倉はその持てる技術を惜しげもなく祈子に伝授する。なぜ敵である私にゴルフの高等技術を教えてくれるのかと尋ねる祈子に、高倉が答えた。「おかしなことを訊くね。君は、私がなぜ鬼怒川にいるか、そんなことはどうでもいいと言った。それで良いじゃないか。君がプロテストを優勝で飾りたいのは知っている。だったら私から技術を盗めばいい」。

数日後の朝。鬼怒川ホテルを嗅ぎ付けた剣二と華粋会は、徹と冴子を拉致し、極寒の山中で徹を痛めつけ祈子の隠れ家を吐かせようとする。徹が殺されると恐れた冴子は、やむなく祈子の居場所を話してしまった。剣二たちは龍王峡へ急行。徹は自分の忠告を無視して祈子の居場所を話した冴子を罵倒し、自ら祈子を助けに行こうとするが、傷だらけの体で満足に動けない。冴子は、徹への罪滅ぼしのために、自ら祈子のもとへ向かうが、途中の雪道で崖から滑落してしまう。

高木から、徹と冴子がさらわれたという知らせを聞いた信也はロッジへ急行。だがそこに祈子の姿は無かった。祈子は高倉との練習場所に来ていたが、その日、高倉はまだ姿を見せなかった。どこからか、高倉の声が響いた。「祈子くん、すぐここを去りたまえ!追っ手が来ているぞ!」。祈子の前に剣二と華粋会の男たちが姿を現すが、その時、高倉の打ったゴルフボールが華粋会の男たちに次々に命中、祈子を助けた。

剣二の追跡を逃れた祈子はやがて信也と合流するが、途中、雪の中に倒れて氷のように冷たくなっている冴子を発見。冴子は薄れ行く意識の中で、祈子にプロゴルファーになる夢を託した。その時、徹が彼らのもとにたどり着いた。徹は冴子を病院へ運ぶことを引き受け、祈子と信也に自分たちに構わず逃げるよう促す。だが、祈子と信也が長い洞穴を抜けたとき、二人の前に剣二が立ち塞がった。


ミニガイド
なし


MEMO
野沢冬子(松井紀美江)の焼死事件を伝える新聞には「女子プロゴルファー養成所に怪事件」「身許不明の女性 物置で焼身自殺」といった見出しが踊っている。本文中には「二十五-六歳の女性の死体・・・」とあるが、ちょっと無理があるような?(ちなみに松井紀美江さんは当時32歳)

凍傷を負って倒れている冴子を発見した祈子と信也のもとへ現れた徹。木の枝を杖にしてヨロヨロと歩いてくる姿はちょっとユーモラスに見えてしまう・・・。

丸元賢三(長門裕之)が愛用しているパソコンはNECのN5200というシリーズの機種らしいです。

龍王峡、祈子の前に姿を現す剣二と華粋会の男たち。すると突如、どこからか放たれたゴルフボールが鋭く木に跳ね返って、華粋会の男たち数人を一気になぎ倒して行く。現実には有り得ないこんなシーンも無理なく見せてしまうテンポの良い演出が光ります。祈子の危機を救った高倉が遠くにすっくと立っている姿、カッコイイ!。だが、高倉は先頭を歩いていた剣二がボールを避けることは計算済みだったのか?


↑の『明星』1988年2月号の記事より一部紹介します。

(安永亜衣インタビュー)
「幼稚園の頃から文章を書くのが好きで、雑誌記者になりたかったんです。その後、新聞記者→脚本家→ん〜、お芝居か・・・→書くより、演ったほうが楽しそう→女優さんになろう!!となりまして、一度決めたらあとは目標に向かってまっしぐらの性格なもので・・・へへ」

「小学生までは整理整とん魔人で、部屋はいつも、きちーっとしてたんです。でも中学頃から、A型の血が薄らぎまして、今じゃ、あき巣が入ったみたいな部屋で生活してますっ、あはは」

「私、運動はぜ〜んぜんダメなんで・・・もぉ、バスケをやれば味方のゴールにシュートしちゃう、ハードルとべば全部なぎ倒して走っちゃう・・・最低なんです」

(※注・本人はゴルフは当然初めてのため、撮影に入る前に女子プロから2週間の猛特訓を受けた)「球筋が素直でいいって言っていただけました」

「中学、高校と女子高ですから、男の人ってダメなんです。特に顔のイイ人なんて、もう〜、全身硬直おこしちゃいまして。だから恋人役の慎吾さんと、目をあわすシーンなんて汗ダラダラ。目が見れないんで耳たぶとか、おでこのシワを見つめてるんです。・・・それに“ぶっ殺すぞ”とかドスきかせながら、内股で走り去っちゃったり・・・どっか女子高ぽいんですよ、私」

・・・その他、「信也(風見慎吾)は本作出演が決まってゴルフを特訓したが、いざ始まったら自分がゴルフをするシーンが一回もなくて愕然とした」「祈子愛用のゴルフクラブは“HONMA”ブランドでワンセット150万円」「剣二アニキ(萩原流行)は、撮影の合間はいつもゴルフ三昧」といったエピソードも。

初出・2004年2月4日水曜日




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