プロゴルファー祈子
第15話「恋捨て記念日」


ストーリー
鏡子(土家里織)の出現から一夜明けた。亜矢子(生田智子)は祈子(安永亜衣)に、自分たちとの勝負は別として、ここを出るなら早い方がいいと忠告する。丸元家では、鏡子は悪魔の子と呼ばれていたという。亜矢子がそんな話をしているところへ鏡子が現れ、自分のことで余計な事を喋ろうとしている亜矢子を手酷く痛めつけた。一旦は養成所を出ようとしていた祈子だったが、鏡子の脅しに屈することはできず、養成所に留まることを決意する。

養成所での練習の合間、祈子は鏡子に、父・神島友平は丸元利一郎殺しの犯人ではないと訴えるが、鏡子は信じようとしない。鏡子は自分の辿って来た道を祈子に話し始めた。鏡子が父・利一郎の死を知ったのは、彼女が少年刑務所にいる時だった。自分を愛してくれた唯一の肉親である父を殺した犯人・神島友平に、鏡子はそれこそ少刑を脱獄して復讐するつもりでいたが、友平は自殺。憎しみをぶつける相手がいなくなり、鏡子は生ける屍同然になってしまった。それからしばらく経って、神島友平の娘が神奈川県最大の非行グループの会長になって暴れ回っていると聞いて、鏡子の血は燃えた。その娘に復讐することだけを考えて鏡子は模範囚となり、古武道を知る教官から、血の滲むような特訓も受けたのである。そんな道を歩んできた鏡子に、祈子の言葉は届かなかった。

その頃、野上家。敬太郎(中条静夫)の会社は丸元賢三(長門裕之)からの圧力で八方塞がりの状況にあった。亜矢子と結婚して、自分たちを助けて欲しいと信也を説得する敬太郎だが、信也は、一生ずっと丸元社長の顔色を伺ってまで社長に留まりたいのかと敬太郎に反発する。だが、学閥も閨閥も無い身から社長に登りつめた敬太郎には、社長の椅子は失うことの出来ない夢であった。ちょうどそこへ帰って来た静子は、友人である丸元律子(岩本多代)からの助言もあり、もう一度自分で信也を説得することを考えていた。もちろんそれは敬太郎のためではなく、信也のためにである。

翌日、静子は信也に、富士山を見に御殿場へ行きたいと言い出した。本音は養成所の祈子と亜矢子をもう一度見てみたいということだったが、信也は母の望み通り一緒に車で出かけた。その頃、野沢剣二(萩原流行)から「祈子を信也から奪って来い」と焚き付けられていた徹(沢向要士)も、バイクで御殿場に向っていた。

その日、養成所の訓練生たちは、20kmのマラソンに出ていた。マラソンの列が通りかかった所で、信也は車を停める。静子は、祈子と自分のどちらが大事なのかと信也に問うが、信也には答えられない。信也が祈子に声をかけようと車から離れた隙に、静子は霧深い樹海へと姿を消してしまった。走っていた祈子も異変に気付き、信也と一緒に静子を探しに向かう。亜矢子、冴子、鏡子も彼らを追った。そんな頃、付近へ来ていた徹は冴子から状況を聞き、祈子を追って樹海の奥へ入って行った。

やがて祈子は、倒れている静子を発見した。信也を引き止めることが出来ず絶望している静子の姿を見て、祈子の口から突然、思いがけない言葉が飛び出した。子離れできない親なんて最低だ、こんなエゴイストな姑がいたら信也さんと結婚しても不幸になるのが目に見えている、などと祈子は暴言を吐く。信也もそこへやって来たが、祈子は構わず続けた。「安心するといいわ。信也さんなんてこっちから振ってやるから!」・・・もちろんそれが祈子の本意でないことは信也にも分かっていたが、祈子はこうでも言って自分が信也と離れることを静子に伝えなければ、信也も静子も救えないと考えたのだ。

二人の許から走り去った祈子は、木陰で堰を切ったように泣き崩れた。祈子には信也への変わらぬ思いが溢れていた。そんな様子を目の当たりにしてしまった徹は、祈子の前に姿を現すことはできなかった。

「私は祈子を許さない。許さない・・・!」静子は何度もそう繰り返しながら、信也に付き添われて車に戻った。走り去る信也の車を見つめて、祈子は心の中で言った。「信也さん、静子おばさまを安心させてあげて。私は一人で生きていけます。一人で・・・」。祈子はこれ以上信也が苦しむ姿を見たくなかった。信也との別れを決意することは胸を引き裂かれるほど苦しかったが、静子に辛く当たってみせたことに後悔は無かった。祈子はたった一人で荒海に漕ぎ出す覚悟をしていたのである。


ミニガイド
神島祈子は今、ギャンブルにのめり込んでしまった徹兄さんの切ない気持ちを思っています。しかし、悪魔の使いが、私たち兄妹を破滅の道へと導こうとしているのです。徹兄さんの命と引き換えに、ゴルフマッチの挑戦を受けなければならない祈子。プロゴルファーへの道のりに、また新たな障害が立ち塞がろうとしています。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!


MEMO
ドライバーショットの練習中、鏡子は祈子に「150ヤードの標識を見ててごらん」と言って、ボールをショットし、標識に命中させてみせる。「あれがお前の胸の傷跡さ。私の打球がいつもお前を狙っていることを肝に銘じておくんだね」。それに対抗して、祈子もボールを置いてショット。祈子が放った弾丸ライナーが命中して標識は爆発四散、吹き飛んでしまう。そんな無茶な・・・。 

丸元家のお手伝いさん・冬子(松井紀美江)は、野沢剣二の妹であった。彼らは丸元賢三から大きな恩義を受けていたのである。ちなみに、徹が信也から祈子を奪ってくれれば、彼らにとって都合が良いらしい。なお剣二は、鏡子が養成所に入ったことについては、亜矢子が入校していることもあり、賢三にしばらく伏せておくことにする。

20kmマラソンの途中、鏡子が祈子に、「泥棒猫(←注・亜矢子のこと)の婚約者を奪おうなんて、お前も泥棒猫だよ」と悪態をつく。祈子は相手にしない。「・・・図星を付かれて返事も出来ないようだね。信也ってそんなにいい男かい!」と祈子を煽る鏡子。「信也ってそんなにいい男かい」・・・私も祈子と亜矢子さんに小一時間問い詰めたい。

マラソンのシーンでは、祈子・鏡子・亜矢子・冴子の身長差が良く分かります。ちなみに背の高さは、大沢逸美さん(168cm)>生田智子さん(165cm)>安永亜衣さん(160cm)>土家里織さん(156cm)となります(データは「日本タレント名鑑」より)。初登場の時はそれほど気になりませんでしたが、最近の鏡子はとても小柄で可愛い。祈子にガンを飛ばしていても、実は見上げていたりします。

樹海で静子の探索中、かなり派手に斜面を転がり落ちていった祈子。そこへ岩を落とそうとしていた鏡子だったが、背後で声がしたので振り向いたら、次の瞬間に祈子の姿はなく、鏡子は舌打ちする。鏡子は亜矢子に狙いを変え、彼女を樹海の奥へ引っ張って行った。亜矢子を一人置き去りにするつもりである。そこへ、かすり傷一つ無い祈子が現れ、鏡子を追い払う。亜矢子は祈子に「もう嫌、おうちへ帰りたい・・・!」と弱音を吐く。祈子は「ここで挫けたら、丸元亜矢子のプライドはどうなるの!私は鏡子の脅しになんて負けないわ!」と亜矢子を励まします。

初出・2003年12月24日水曜日




inserted by FC2 system