プロゴルファー祈子
第12話「鏡の国から来た娘」


ストーリー
祈子(安永亜衣)の実家である食堂「あすか」の厨房。祈子が室田花子(松居直美)に、鏡子(土家里織)のことを尋ねていた時、突然、窓ガラスを割ってゴルフボールが店内に打ち込まれる。祈子は、鏡子からの宣戦布告だと直感した。

夜の街に出没した鏡子は、ふらりと一軒のライブハウスへ入って行った。ひそかに鏡子の後を追って来ていた花子は、祈子には手を出さないでほしいと鏡子に頼み込むが聞き入れられない。鏡子は逆に、祈子の兄・徹(沢向要士)の居所を探し、信也(風見慎吾)もそこへ連れて来いと花子に命じた。店を出た花子は、始終を陰で見ていた仲間たちから、鏡子との関係を問い詰められる。花子は、自分は鏡子から大変な恩義を受けていて鏡子の言うことには逆らえない、と打ち明け鏡子に言われるまま街に消えて行った。

その頃、野上家では、徹の件を巡って信也と両親の話し合いが行なわれていた。徹を家族として認めるのか、あるいは敬太郎(中条静夫)が徹を自分の子と認めて徹に詫びるか。だが敬太郎はあくまで徹は自分の子ではないと主張し、話し合いは決裂。そんな所へ、窓の外から花子が信也に呼びかけた。徹の居所が分かったと聞いた信也は花子と出かける。

花子に案内された埠頭で徹を見つけた信也は声をかけるが、徹は兄である信也と打ち解ける様子はなかった。徹は信也に「俺は祈子が好きだ」と宣言し、二人は殴り合いになってしまう。その時、花子の背後から現れた鏡子がショットしたゴルフボールが徹と信也に命中し、気を失った二人は鏡子の部下たちによって何処かヘ連れ去られてしまった。そして鏡子は花子に、徹の居所を餌に祈子をおびき出すよう命じた。

翌朝、祈子は花子から徹の居所が分かったと連絡を受け、現場へ向かう。だが、祈子が辿り着いたその古い建物には鏡子が待ち構えており、傷付いた徹と信也が柱に縛られていた。鏡子は、徹と信也を人質に、祈子と一対一の決闘を挑む。二人の戦いのさ中、花子は隙を見て徹と信也を救出し、彼らは祈子と鏡子の争いに割って入る。鏡子は「こう邪魔が入っちゃスカッと勝負という具合には行かないね。祈子、お前の命はしばらく預けておくよ」と引き上げたが、花子は鏡子の部下に捕らわれてしまった。

残された祈子、そして徹と信也。徹は、今や妹ではないと判明した祈子に、愛の告白をした。思いがけない言葉を聞いて祈子は戸惑いを隠せない。徹は「俺は信也からお前を奪ってみせる」と言い残して走り去った。

そんな頃、鏡子の出現に恐れおののいている者たちが他にもいた。丸元賢三(長門裕之)とその妻・律子(岩本多代)である。彼らにとって鏡子は祈子に続く災いの種であった。そこへ娘の亜矢子(生田智子)が、御殿場のプロゴルファー養成所に入るためすぐに発つと言い出した。このまま何もしないで信也を待っていることには耐えられない、そして祈子とはゴルフで決着を付けたいと言って、亜矢子は家出同然に飛び出してしまう。

賢三は怒り心頭、野上家に乗り込んで敬太郎に絶縁状を叩きつけ、会社間の取引も今後一切中止すると通告して帰った。そこへちょうど祈子と一緒に信也が帰って来た。敬太郎と妻・静子(久我美子)は、祈子こそ全ての元凶であると、あからさまに彼女を非難した。

いたたまれずその場から飛び出した祈子は、玄関先で泣き崩れてしまう。なぜ皆バラバラになってしまうのか・・・徹も、花子も、野上家の人たちも。この世に真実の光を求めることが、なぜ人を傷つけ、憎しみだけを募らせることになるのであろうか。真実を求めることは罪なのか。自問自答を繰り返す祈子の胸に、悲しみだけが溢れていた。


ミニガイド
神島祈子は今、真実を求めて生きています。でも、その答えはいつも辛く悲しいことばかりです。人には知られたくない過去の秘密。私の友達の花子に、司鏡子と昔からの繋がりがあろうとは。そして舞い込んだ果たし状。祈子はまた傷付き喘ぎながらも真実の坂を踏み締めて行きます。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!


MEMO
5番アイアンを背に悠々と夜の街を闊歩している鏡子に、「肩に挿した5番アイアンは何の真似だ!俺たちの元の会長をからかう気かよ!」と因縁を付ける現・北斗七星会の男たち。北斗七星会は、会長の祈子をはじめ主要メンバーこそ引退したが、会自体が解散したわけではなかったのである。だが彼らは鏡子の前にコテンパンに叩きのめされてしまいます。

徹の居場所へと向かう祈子が着ている青いジャケット、どう見てもサイズ大き過ぎ(袖も折っている)。男物か? 似合ってないです。

「ライブハウス・リバプール」で、5番アイアンを背にしたまま優雅にピアノを弾いている鏡子。この“有り得なさ”と言うか、“とんでもなさ”が実に大映ドラマ的で楽しい。曲は「エリーゼのために」。

今回、思いがけず鏡子と対決することになった祈子。当然5番アイアンは持って来ていないため、武器として鉄パイプを与えられる。「お前のような奴はね、私のこの傷が許さないんだ!」と自分の左胸の傷痕を鏡子に見せる祈子。すると鏡子はひるむどころか、自らの右胸を開いて見せる。そこには祈子と同じようなゴルフボール大の傷痕があった。「私はお前の鏡だよ。お前の左胸に傷があれば、私の右胸に傷があるのが当たり前じゃないか!」。・・・ところで、鏡子は誰にボールをぶつけられたのだろうか?

初出・2003年12月3日水曜日




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