おれは男だ!
第42話「お命頂戴 ウーマン・リブ!」


ストーリー
かつて青葉高校で教育実習をしていた野村早苗(横山リエ)は、大きなお腹を抱えて東京へ戻って来ていた。早苗は実習を終えた後、僻地教育に身を捧げると言って郷里の岡山に赴任していたのだが、一年足らずの内に週刊誌を賑わす「未婚の母」を大胆にやってのけたということで、青葉の女生徒たちは早苗を英雄視するようになる。

しかし実際には、早苗は現実に敗れて戻って来たのだった。赴任先で同じ理想を持つ男性にも出会ったが、こんな体になってから自分の方から彼を棄てて出て来たのは、女としてもう一度やり直すため、そして裏切られても結局男を頼ろうとしている自分が許せなかったから。ギリギリの所へ行くと、男は男のエゴイズムで逃げようとする・・・早苗の語った話を伝え聞いて、青葉の女生徒たちの間にウーマンリブが再び盛り上がり、学校の謝恩会をボイコットして独自にリブ集会に開き、早苗をゲストに迎えて体験談を聞こうと計画する。

ウーマンリブの再燃が早苗の影響であると知った弘二は、早苗のアパートを訪れる。そこでは女生徒たちが早苗を闘うリブのシンボルとして担ぎ出そうとしていたが、早苗は中々承諾しようとしない。自分は現実に敗れて逃げて来た女で、話せることなんてない、結局、自分で何かやってみて考えてみるしかないみたい、と早苗は自嘲気味に語る。その時、弘二が部屋のドアを開けて入って来た。そして意外にも彼は、早苗にリブ集会に出るべきだと進言する。早苗は教生時代、弘二に剣道の勝負を挑み、予告どおり弘二を叩きのめしたことがあった。弘二は早苗に自分の意見をぶつける。あの時の自信に溢れた先生のままだったら、未婚の母なんて流行語に踊らされている女生徒たちの頭を冷やすためにも、リブ集会に出てほしい、と。

リブ集会は、謝恩会と同日に決行された。弘二たちは謝恩会の方へ向かうが、そこには生徒の姿は無く、古式にのっとり切腹しようとしている明石さくら校長(京唄子)がいるだけだった。生徒がみな謝恩会を反古にしてリブ集会へ流れてしまったことに絶望した校長は、弘二にリブ集会粉砕を託すが、弘二は、死ぬ覚悟があるなら自分で粉砕してくればよいではないかと答える。校長は女だから、リブ集会に参加することが出来るのだ。

一方、弘二たちは女装してリブ集会に潜入。集会には結局、早苗は来ていなかったが、剣道部の解散決議が持ち出されて堪らず飛び出してしまった弘二たちは女生徒たちに捕らえられ、晒し者にされてしまう。そのとき、弘二たちの前に早苗が現れた。

「・・・私が今日ここへ来たのは、皆さんの応援に来たのでもなければ、煽りに来たのでもありません。ただ、皆さんと一緒に考えたいことがあったからです」

早苗は自分の体験を語り始める。彼女は去年、希望に燃えて岡山の僻地に赴任した。そこで同じ理想を持つ男性と出会い、共同生活を始めた。しかし、彼女はすぐに壁にぶち当たる。現場で必要なのは教育の技術ではなくて、元気のない子を見たらすぐ、病気の兆候を感じ取ったりする、そういう勘のような物だった。そして、共同生活の破綻は思ってもみない所からやって来た。

「・・・それは、彼が男で、私が女であったみたいなこと。当たり前のことです。でも、当たり前のことだと笑う前に考えてほしいのです。彼と私はとんでもないくらいに遠くへ心が離れていた。彼はごく当たり前の亭主になっていた。私は何の為にここまで来たのか分からなくなってしまった。私が彼を棄てて一人で東京へ出てきたのは、このままいたら私は本当に駄目な女になるだろうと思ったからです。私は近頃流行の未婚の母なんてそんな格好いいものではありません。私を見てください。このお腹は、男と女のよくある話のまま、そのまま流されてしまいたくないと、一人の男に一つだけ私がお利口さんにさせてもらった印なのです。だから、皆さんに考えて・・・ほしいことは・・・」

言葉が途切れ、突然その場にうずくまる早苗。そこへ、謝恩会会場から駈け付けた明石校長が飛び出して来た。早苗が産気づいていることを見て取った校長は、早苗を本堂内へ運ばせる。運悪く近所の医者が全部出払っていたため、急遽校長が産婆を務めることになった。校長は生徒たちにてきぱきと指示を出し、男子も女子も一丸となって早苗のお産の手助けに走り回る。不測の事態にも冷静に行動する校長の姿を見て、女生徒は自分たちの軽率な行動を反省し、校長に平謝りする。

やがて大きな産声が本堂に響いた。女の赤ちゃんだ。男子も女子も、狂喜乱舞して境内に飛び出し、弘二を取り囲んでもみくちゃにする。全員が一丸となって一つの命の誕生を支え、その喜びを分かち合っている。その只中にあって、弘二は心の中で呟いた。

「ウーマンリブ・・・ウーマンリブって、本当はどういう事なんだろう?」


MEMO
第15話「女は女 男じゃないよ!」に登場した野村早苗先生が、全く意外な形で再登場。受験用の知識でなく詩を中心にした授業を行うなど、あくまで自分のポリシーを貫き、悪質な悪戯をする生徒は容赦なくぶん殴る・・・教生時代の早苗は良くも悪くも、やや過激なほどに自信に溢れていました。しかし、今回大きなお腹を抱えて一人で東京へ戻って来た早苗の顔には、当時のような精彩がありません。

リブ集会で早苗は自分の体験を語りますが、その核心部分については、彼女自身にも簡単に割り切れるような答えは見つかりません。「・・・私を見てください。このお腹は、男と女のよくある話のまま、そのまま流されてしまいたくないと、一人の男に一つだけ私がお利口さんにさせてもらった印なのです」。早苗は自らの身をもって、言葉だけのウーマンリブに浮かれている女生徒たちに、一緒に考えてほしいと訴えます。

最近でこそ「未婚の母」も珍しくなくなって来ましたが、本放送当時は相当に斬新な生き方であったと思います(今でもそうですが)。岡村千恵(降旗文子)の「桐島洋子か野村早苗か」というセリフに時代を感じます。

早苗のアパートは「北川町三丁目、松風荘」。

麻里の父親の会社はドルショックと円切りで倒産し、彼女はお茶の水女子大の受験を断念して就職試験を受けます。面接で「コンピューターの時代にはコンピューターが必要とする女性の仕事があるはずです」と自論を力説し、ハッスルガールとの評価を受けて早速その日から仮採用で1週間ほど働くことになりますが、社内で彼女は「所詮女の子」という調子で扱われ、仕事も評価してもらえず、また誰もフォローをしてくれません。そして最後に「お茶を入れてくれ」と言われるに至って、彼女は男中心社会の不条理さを心底思い知らされます。その体験と、早苗と出会って彼女の話を聞いたことから、今回麻里は剣道部マネージャーを降り、リブ派に転向します。

秋本京子(田坂都)が眉を剃った顔・・・怖すぎる(笑)

リブ集会の開催は2月6日午後1時、場所は妙浩寺本堂。お寺でリブ集会というのも・・・。



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