おれは男だ!
第31話「さよならを云いに来た海!」


ストーリー
夕暮れの海でひとり、母への想いを胸にトランペットを吹いている西条(志垣太郎)。その目には涙が光っていた。そんなところへ偶然通りかかった藤宮あずさ先生(武原英子)。藤宮先生は、西条が母親の再婚で辛い思いをしているのだと判断し、「お母さんはお母さん、あなたはあなた。もっと強くおなりなさい」と声をかける。だが、その言葉が西条の心を深く傷付けていたとは、藤宮先生は気づかなかった。

次の日から、西条はあからさまに藤宮先生への反抗心を見せる。授業中に大声で歌い出したり、テスト中堂々とカンニングをしたり。そして、剣道部に入れてくれと頼み、藤宮先生と試合をさせろと弘二(森田健作)に要求。先生ぶって偉そうな口をきく奴が大嫌いなんだ、と言う西条だが、どうやらそれだけではないらしい。

西条の頑なな態度に当惑する藤宮先生は、弘二の自宅で弘二と操(早瀬久美)に相談。それを聞いていた弘二の祖父・源之助(笠智衆)が言った。男が涙を流している時、女はそっとしておいてやるものだ、と。古い明治生まれの小言のようでも、藤宮先生には胸を突かれるものがあった。自分は良い教師でありさえすればいいと考えていた、勉強だけしていれば、生徒の気持ちも分かると思っていた・・・・。

一方、スナック「シャルム」。なぜ藤宮先生にそんなに歯向かうのかと西条に尋ねる麻里(有吉ひとみ)。実は、西条には実の母親から手紙が来ており、そこには「もう会いに来てくれるな」という内容が「優しい言葉で」綴られていた。もちろん西条にも、ようやく新しい生活を手に入れた母親がどんなに辛い思いでこの手紙を書いたか痛いほど良く分かっていた。だからこそ、そんな自分の気持ちも知らずに、「お母さんはお母さん、あなたはあなた。もっと強くおなりなさい」などと偉そうに自分に説教した藤宮先生が許せなかったのだ。「・・・あいつだってただの女だってことを思い知らせてやる・・・!」。だが麻里には、西条がその言葉とは裏腹に藤宮先生に対して抱いている本当の気持ちが分かっていた。「西条君、あずさ先生が好きなのね・・・」。

次の日の夜、西条は誰もいない学校に藤宮先生を呼び出す。先生に謝りたい、という西条の言葉を信じて、学校へ向かう藤宮先生。途中、麻里に会い、話を聞いた麻里は「西条君の罠です!」と忠告するが、藤宮先生の意思は変わらなかった。

無人の教室で待っていた西条。彼の気持ちも知らずに偉そうなお説教をしてしまったことを詫びる藤宮先生。それなら俺の前で土下座できるか、と言われ、藤宮先生は素直に膝をついて西条に頭を下げた。だがその時、西条の心は激しく混乱した。

「・・・どうしてそんなことするんだ!・・・あんたは先生じゃないか!・・・俺は先生が好きなんだよ・・・!」

今まで、藤宮先生に反抗してみせることでしかその気持ちを表現できなかった西条だが、完全に自分に有利な状況にある今、彼の想いはついに爆発した。藤宮先生を押し倒そうとする西条。そこへ、麻里から知らせを受けた弘二と操が駆けつけた。西条を激しく叱責し、容赦なく彼を殴る弘二。打ちのめされる西条だが、彼は弘二に反撃しなかった。西条のそんな姿を見て、弘二はもうそれ以上何も言わず、二人を残して操らと共に教室を後にした。残された西条と藤宮先生。西条は、散らかった机を元どおりにすると、藤宮先生を残して何も言わずに去っていった。

それからしばらく経ったある日。西条は店を売り払い、学校にも退学届を出し、新たな出発を控えていた。青葉での最後の日、剣道部は、西条に送別のプレゼントを用意していた。藤宮先生との試合だ。

もともと西条が剣道部に入ったのは、剣道という名目で藤宮先生を思う存分殴りたいと思っていたからだが、今は違った。藤宮先生との最初で最後の試合。試合が激しさを増して行く内、やがて壁際で拮抗する二人。藤宮先生の目には涙が光っていた。そして、二人は心の中でお互いに言った。

「さよなら、先生・・・」

「さよなら、西条君・・・」


次の日、新天地へ向かって疾走する西条のジムニー。彼の傍らには、昨日の試合で藤宮先生と交えた竹刀があった。青葉高校での沢山の思い出が詰まったこの竹刀と共に、彼はこれからも力強く歩み続けることだろう。


MEMO
まさしく疾風怒涛のように青葉高校を駆け抜けていった西条信太郎。この西条4部作は今までとは少し違ったカラーの作品群となりましたが、これによって作品世界が大きく広がりました。

藤宮先生の稽古着姿はカッコイイ!凛として、正に芯の通った強い女性というイメージ。でも、女として、男が涙を見せているときに口を挟むようなことをしてはいけない、という源之助おじいちゃんの言葉で、藤宮先生はそれまでの自分をようやく冷静に振り返ることが出来るようになります。実は今まで恋愛をしたことがなかった藤宮先生。自分に反抗する西条の態度が全て自分への好意の不器用な表現であることに気づきません。初登場時から今まで、完璧な教師として描かれていた藤宮先生ですが、今回のエピソードでひとつ人間が丸くなったと言うか、より親しみがわくキャラクターとなりました。

西条も、ニヒルなアウトローを気取っていたわりに、実は年上の女の先生に憧れていた・・・なんて、ちょっと可愛いとこありますね。まあ、先生が武原英子さんなら無理もないですが。

バトン部員たちがウワサ話をしているシーン、野崎愛子(川口恵子)が最も西条に熱を上げていたらしい・・・。他の部員達にもみくちゃにされます。

秋本京子(田坂都)は左利きのようです。



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