おれは男だ!
第22話「キャプテン死んで貰います!」


ストーリー
ある日、弘二(森田健作)にルミ子(林寛子)という女の子から突然電話が入った。今羽田に着いたからすぐ迎えに来てほしいと言う。弘二には初め見当がつかなかったが、ルミ子は熊本にいる弘二の伯父夫婦の養子になった子で、即ち弘二や操(早瀬久美)の従妹である。羽田で弘二と出会ったルミ子は、彼をしげしげと眺め「なかなかいいセン行ってるわね」と満足そう。両親には内緒で一人で家を飛び出してきたと言うルミ子は、「お兄様、お兄様」と弘二にすっかりなついてしまい、いつも彼のそばに付いて離れない。無邪気で行動的なルミ子に引っ張り回されて、弘二のみならず操もいささか戸惑っていた。

弘二が丹下竜子(小川ひろみ)と一緒に段位認定試験を受けに行っている間、田村(三城康裕)は弘二から頼まれてルミ子と鎌倉見物に出かける。その後、田村とルミ子がスナックセブンで一休みしていたとき、ルミ子は、弘二に恋人はいるのかと田村や京子(田坂都)に尋ねた。ルミ子は弘二と結婚するつもりでいるのだ。翌日、学校では、弘二とルミ子は婚約しているという話になって広まってしまった。困惑する弘二は「何とかしてくれ」と操に頭を下げる。

操・麻里(有吉ひとみ)・京子の三人は、スナックセブンで会談。弘二が気の毒のような、可笑しいような・・・。ここで弘二に貸しを作っておくのは悪くないが、難問だ。まずは正攻法で操がルミ子に説得を試みる。ルミ子は、自分の両親が「弘二さんをお婿さんに」と話しているのを聞いたのだと言う。そして実際、弘二はルミ子の思った通りの素敵な男性だった。弘二のことが好きなのかと逆に尋ねられた操は、ルミ子の前では「何とも思っていない」と答えるしかなかった。

その夜、小林家には熊本から弘二の伯母・久子(野村昭子)が来ていた。久子の家では、弘二を養子にもらうことを諦めて、代わりにルミ子をもらったのだが、あるとき家族で「これで弘ちゃんがルミ子のお婿さんに来てくれたら言うことないんだけど」等と話していたという。それを多分ルミ子は聞いていたのだろう。ほんの軽い気持ちで言ったことであり、明日自分の方からルミ子に言って聞かせる、と言う久子に、弘二は強い口調で反論した。

「やめてください。そんな勝手な話ってあるもんか・・・ルミ子ちゃんはまだ養子になって間もないから、新しい両親が自分のことをどう思っているか、とても神経質になっていたと思うんだ。そこへ俺の話が出た。どんな奴か見てやろうと思って出て来たんだ。そして・・・」そこで操が口を挟んだ。「小林君を好きになったのよ」。弘二が続ける。「・・・それを今頃になって、あれはほんの思いつきだったというのは、あまりに可哀想だ。そんな形で子の将来を束縛するのは、親としては、いけないことだと思うんだ」

熱弁を振るう弘二に、久子は自分達が軽率であったことを素直に認め、弘二もまた、生意気な口を聞いてすみません、と久子に頭を下げた。兎も角も、どうやってルミ子を納得させるかが問題だ。実はそんな様子をルミ子は廊下で聞いていたのだが、弘二達はそれには気付かなかった。

しばらくして、弘二と操はルミ子が寝ている部屋にやって来た。「・・・さっきの小林君、とっても素敵だった」「よせよ・・・それより、どうしたらいいか考えろよ」そんな二人のやり取りを、ルミ子は眠ったふりをして背中で聞いていたが、弘二と操が強い絆で結ばれているということを、子供心にも敏感に感じ取ったようだ。

翌日、剣道部とバトン部の合同パーティーがスナックセブンで開かれた。丹下竜子やルミ子も招かれ、皆で楽しく踊っている。だが、操と麻里には今もルミ子のことが気に掛かっていた。麻里はふと、ルミ子が持ってきた2体の手踊り人形を見て、あることを思いつく。麻里は公園にルミ子を連れ出し、人形を弘二とルミ子に見立てて、お芝居を始めた。

・・・弘二を慕うルミ子は、彼と結婚したいと思っている。でも弘二は、ルミ子と結婚することができないと言う。弘二がルミ子に語りかける。・・・僕には、前から好きな人がいるんだ。それはお隣の操お姉ちゃんなんだ。口では僕のことを何とも思ってないって言っているけど、本当は僕のことが好きなんだよ。・・・ルミ子ちゃんが操お姉ちゃんくらいに大きくなったら、きっとまた僕みたいな素敵な男の人が現れるよ・・・

お芝居が終わり、麻里が「どう、面白かった?」と尋ねると、ルミ子は「とっても面白かった」と涙を浮かべながら頷いた。木陰でその様子を見ていた弘二と操も、立ち去るルミ子をただ見守るしかなかった。スナックセブンでは今も剣道部員とバトン部員が楽しく踊っている。その窓越しに、泣きながら夜空の下を歩くルミ子の姿があった。

翌日、羽田空港。弘二・操・麻里はルミ子を見送りに来ていた。ルミ子の乗ったジェット機が飛び立とうとするとき、麻里が操に言った。「『僕は、お隣の操お姉ちゃんが好きだ』、あれは私のお芝居なんですからねっ!私の本当の気持は・・・」だがその先はジェット機の轟音にかき消されてしまった。「さよなら、ルミ子ちゃん」弘二は爽やかな笑顔でジェット機に手を振るのだった。


MEMO
林寛子さん演じるルミ子ちゃんの淡い恋心と、それに向き合う弘二の心情が人形劇に仮託して描かれます。今回、長沢麻里の貢献度は大です。有吉ひとみさんの演技力が素晴らしい。

剣道部の部室。大木(ルミ子役)と中山(弘二役)が寸劇をやっているところへ麻里がつかつかと入ってくる。大木が「結婚しましょー!」と中山に抱き付こうとしたとき、麻里が大木を撥ね退け、それに気付かず中山が麻里に抱き付こうとすると「いやらしいわね、もう!」と向こうへ押しやります。大木と中山の寸劇はハッキリ言ってヘタ!(笑)

スナックセブンで、弘二の恋人候補を連想するルミ子。吉川操、長沢麻里、丹下竜子といった面々が次々にストップモーションで映し出され、続いて秋本京子の顔が映る・・・が止め絵にはならない。「京子さん、あなたどうなの?」とルミ子に聞かれてハッと我に帰る京子。「え、え!?私?そ、そりゃあまあ私だって・・・」と慌ててます。

夜空の下をルミ子が泣きながら歩くシーンでは、挿入歌として赤い鳥「竹田の子守唄」が実に効果的に使用されています。そしてラストは一転、爽やかな青空となり、聞こえて来るのは「さらば涙と言おう」!このイントロが現れる瞬間が堪りません。

飛行機の窓から「お兄様、バイバイ」と、ルミ子の横で人形が手を振っている。それに応えて「さよなら、ルミ子ちゃん」と弘二が呟くシーン、逆光を受けてモリケンの顔にシャープな陰影が浮かび、最高にカッコいい笑顔を見せてくれます。本当に惚れ惚れするような素晴らしいカットでした。



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