おれは男だ!
第16話「家庭科くんフンサーイ!」


ストーリー
青葉高校では、家庭科は女子のみ必修、男子は選択となっている。虎穴に入らずんば虎児を得ずの精神で、ウーマンリブに対抗する弘二(森田健作)も家庭科を履修していたが、彼は実際に興味を持って家庭科に取り組んでいた。これに対して、吉川操(早瀬久美)は家庭科に疑問を抱いており、家庭科よりも受験科目の方を優先すべきという考えだった。彼女は家庭科の授業中に英語の内職をしたり、刺繍の宿題を姉の美穂(秋山ゆり)にやってもらったと自ら暴露したりして、担当の北原先生(天地総子)から注意を受ける。自分たちにとって家庭科とは何か、家庭の仕事がやがて全て機械任せになったとき、家庭科に何の意味があるのか。家庭科が女子のみ必修であることが男女同権に反するということだけでなく、操にとっては、そもそも“家庭”とは何かという問いでもあった。

その日、弘二の母・敏子(津島恵子)が吉川家を訪れた。ちょうど美穂がデザインの専門講習に行って留守のため、敏子は操に「うちへいらっしゃい。うちでご飯を食べるといいわ」と勧める。操は敏子に尋ねてみた。「おばさまは、私が知ってる範囲で、一番素晴らしいお母さんだと思うんです。でも、その力を何か他の事に使ってみたい、そう考えることありません?」。「・・・それはあったわよ、昔は色々と。でもね、いつの間にか今の生活に生きがいを見出すようになったの。女は素晴らしい家庭を作るのが何よりの務めだし、一番の生きがいなんじゃないかしら?」。小林家で、家族のために忙しく動き回る敏子の姿を見る操。一家団欒の温かい家庭が、確かにそこにあった。

翌日、操は家庭科の授業に出なかった。弘二はバトン部の部室で操を見つけ、彼女の意図を問うた。

操「私は自分の信念で決めたのよ。・・・私には、家庭だの家庭科だのは必要ないのよ」

弘二「どうしてだ」

操「あなたには分からない。分かるはずがないわ」

弘二「君にお父さんやお母さんがいないってことが・・・だから必要ないっていうのかよ!君はそんなひねくれ者で、そんな弱虫だったのかよ!」

操「違うわ!私は私の信念で・・・」

弘二「ばかやろう!何が信念だ。君はどうして、そんな言葉で自分をごまかそうとするんだよ。・・・君はそんなことで自分の気持をごまかすような、そんな弱虫じゃないだろう!」

操「私は弱虫じゃありません!出てって・・・!」


授業が始まったが、弘二が機転を利かせ、操は頭痛のため医務室にいると仮装して事なきを得た。放課後、そのことを知った操は、対抗試合に出かけようとしていた弘二を呼び止める。操の信念ということは、弘二も承知していた。その上で弘二は「この世の中で、母親がいないのは君だけじゃないぞ」と言って、操にある所へ行ってほしいと頼んだ。それは野上健一(山本善朗)という少年の家。彼は弘二の妹・かおる(松本うたか)の友達で、弘二とも打ち解けていた。健一は父親と二人暮らしのため、炊事や洗濯は彼が一手に引き受けている。

健一の家で操は、母親のいない彼が、立派に一家の柱として頑張っていることを知る。健一は操に、親父は味にうるさいが、自分が作った料理を「美味い」と言って食べてくれると、涙が出るほど嬉しくなるんだ、などと色々な話を聞かせた。操は健一と一緒に、家庭科で習ったハンバーグを作り、夕食にする。健一は前日に弘二からもハンバーグを作ってもらっていたが、操が作った物の方が美味しいと言った。夕食が終わると、ちょうど健一の父親(佐藤英夫)が帰って来て、操に、健一が世話になったことへの礼を言った。と同時に、こう付け加えた。

「もし同情でここに来られたのなら、吉川さん、これからは来るのはやめてください。・・・僕らは男二人だけの家庭だけども、世間で言うほど侘しいなんてことはないんですよ。・・・こういう家族にもまた、格別の家庭の味っていうものがあるんです」

それを聞いたとき、操の胸にずっと引っかかっていたものが氷解した。操はその足で弘二の家へ走り、応対に出た敏子に、自分の得た解答を打ち明けた。

「やっと分かったんです、私に欠けていた物が。私が向きになって目をそらしていたものは、人が生きていく上に一番大切なことだったんです。それが分かったんです。私、目標はおばさまって決めました。おばさまのようにならなきゃいけないんです!・・・ただそれだけお伝えしたかったんです」

その夜、小林家と吉川家の窓越しの会話。弘二の部屋に明かりが点くと、操が声をかけた。「ずっと待ってたのよ。あなたに感謝しようと思って。健一君の家に行かせてくれたこと。どうもありがとう」。そして、対抗試合に勝ったという弘二を清々しい笑顔でねぎらった。

「これからは家庭科でもライバルよ。あなたには負けないから。じゃあね、弘二さんっ」

そう言って操は窓を閉めた。操から初めて「弘二さん」と呼ばれ、彼も思わず照れ笑いを浮かべるが、その顔は満更でもなさそうだ。


MEMO
弘二の母・敏子や健一少年らとのふれあい、そして自己の葛藤を通じて、操がひとつの成長を遂げていくストーリー。今回もまた奥深い内容を含んでいます。

冒頭、家庭科の授業中、廊下側の窓から手を出して、弘二から実習で作ったコロッケを受け取る剣道部員の中山と近藤。ラストシーンの調理実習でも同じように窓から手を伸ばすが、今度はそれに気付いた操が、自分の作ったハンバーグを手渡す。弘二ではなく操から渡されたことで一瞬慌てる二人だが、次の瞬間、廊下を小躍りしながら「吉川操にハンバーグもらっちゃったー!」と大喜びで駆け出します。このシーンにも、操が得た「大切なこと」が象徴されていると思います。

夜、操が部屋で両親の写真を見つめながら、「家庭・・・。お父さんとお母さんがいて、一家団欒の温かい家庭・・・」と呟くシーンや、健一の家でハンバーグを作りながら「効くわね、玉ねぎって・・・」と操が涙を拭くシーンで、カルメン・マキ「時には母のない子のように」が流れます。また、操が健一の家を出るシーンでは森進一「おふくろさん」が効果的に使用されています(不思議なことに映像と全く違和感がない)。

操は外交官志望。また、亡くなった彼女の父も外交官であったことが分かります。

操の短パン姿、お尻の肉が少しはみ出てませんか?(・_・;

操が健一に持っていったお土産は「少年サンデー」。表紙は帰ってきたウルトラマンだが、まだ放送開始前なので、スーツは初代マンの模様を縁取りしただけのNGバージョンである。

「お料理は心です。食べさせてやりたいというその心です」。家庭科の北原先生役・天地総子さんのコミカルな雰囲気が、重く説教臭い話になりそうな本作において清涼剤となっているように思います。

もう一つ、冒頭の調理実習。秋本京子(田坂都)は巨大なコロッケを作って北原先生に注意されるが、「口の大きい方には一個で済みますからね〜」と毒舌を放ちます。そういえば青葉高校の校長も大口の・・・(以下自粛)。



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