マドモアゼル通り
第15話「明日に向って泣く」


キャスト
紀比呂子/徳永れい子・黒沢のり子/山田はるみ・渡辺ふみ子/谷岡行二・麻乃茉莉子/松平健・井上孝・川口節子/草間璋夫・吉田精司・東静子・志摩冷子・(ナレーター)中村正/岡本信人・小林幸子/桂麻紀・山口哲也/弓恵子/木暮実千代


ストーリー
康蘭株式会社は、雑誌記者の大山を通じて裕子(紀比呂子)のデザインを正式に買い取っていた。裕子は大山の取材に応じて謝礼をもらっただけ、という認識であったが、結果的には自分のデザインを売ったことになってしまったのである。緒方デザインスクールでは、生徒が縫製のアルバイトをすることも禁じられており、今回の裕子の行為は、本人が騙されてしたこととは言え、明らかに学院規則に違反する。翌日、この問題で緊急職員会議が開かれるが、学院長(木暮実千代)が出張中のため、結論は院長が戻るまで持ち越しとなる。

一方、裕子たちの話を聞いたチエ(小林幸子)が自分のツテを使って大山のことを調べてきたが、彼は相当にあくどい人物だという。裕子がサインした白紙はデザイン譲渡の覚書に利用されており、お金を受け取ったという領収書まで存在するため、どうにも言い逃れができない。 

裕子は黒沢(山口哲也)に呼び出された。「先生、私はデザインを売ったりなんかしません。確かにサインもしました、お金も受け取りました。でも、それがデザインを売ったことになるなんて知らなかったんです!」必死に訴える裕子だが、黒沢は厳しく言い放つ。「無知は罪悪だ!」思いがけない言葉に一瞬ひるむ裕子。続けて黒沢は畳み掛けるように言った。「馬鹿!お前は馬鹿だ!知らないということがどんなに罪悪か、プロになろうとする者がその世界のことを知らなくてそれが罪悪でなくて何だ!技術だけ知っていればいいと思っているのか?人間の世界だぞ。人間の厳しい競争の世界だぞ!お前が無知だったために、結果はどうなった?知らなかったで済むと思っているのか!お前は馬鹿だ!お前は・・・どうしようもない馬鹿者だ!」裕子には返す言葉がなかった。

院長が出張から戻り、学院では再び職員会議が開かれた。南部先生(弓恵子)は、「盗作も、デザインを売ったというのも、裕子が言うとおり事実ではないと信じている。しかし結果として学院の責任問題にまで発展したのは、本人の軽率な行動によるものであり、学院の名誉を傷つけただけでなく、卒業生の就職にも影響する。学院としては厳しい態度で臨むべきであり、退学処分にすべき」という意見であった。これに対し、黒沢は「確かに無知は罪悪だ。しかしこの世界では彼女はまだ未成年であり、大人と同じに罰するべきではない」と反論。最終的には院長に結論が委ねられることになった。

夕刻、院長室に呼び出された裕子。「院長先生、知らないということは罪悪です。申し訳ございませんでした」頭を下げる裕子。院長は裕子の方を振り返って言った。「・・・明日、退学届を出してください」

翌日、退学届を提出し、院長に「お世話になりました」とお礼を言って学院を後にする裕子。通い慣れたマドモアゼル通りを一人歩いて行く。学院を去るとき、裕子は決して泣くまいと心に決めていた。だが裕子は泣いた。今、一人であることを、ここがマドモアゼル通りであることを泣いた。・・・やがて裕子の目に、マドモアゼル通りが一際明るく光に映えて見えた。これから自分が進んで行く道であるかのように。


予告
「マドモアゼル通り」次回は・・・。第1回デザイン大賞の波紋。だが、さまよう裕子の青春に栄光は陰る。次回「はるかに遠い星」にご期待ください。


MEMO
クロード片山の仕事を通じてプロの世界の厳しさを体験し、しかしその試練に耐えて見せた裕子でしたが、発表会で自分のデザインが認められて喜んだのも束の間、今度はそのデザインを発端として実社会の不条理さ、大人たちの狡猾さを思い知らされる。「無知は罪悪だ」・・・裕子にとっては厳しい言葉ですがこれが現実であり、彼女は志半ばにして学院を退学することになります。

最終的に、院長は自ら裕子に退学を勧告するのですが、裕子を見放したわけではありません。学院を去る裕子を院長室の窓から見つめながら、院長は心の中で裕子に語りかけます。「・・・三上さん、また学院に帰ってくるのよ。きっとね」。この言葉が、エンディングナレーションとともに、今回のわずかな救いになっています。

今回、桂麻紀さんのクレジットがありますが、出演はしていません。

予告編で、次回ゲストの村井国夫さんが黒沢に「お前、あの娘(=裕子)に惚れてんじゃないのか?」という意味深なセリフを投げかけます。緒方信介(大和田伸也)のいない間に、意外な展開になりそう?次回も楽しみです。

初出・2001年9月20日木曜日




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