マドモアゼル通り
第8話「やぶられた1ページ」


キャスト
紀比呂子/徳永れい子・小林亜紀子/山田はるみ・渡辺ふみ子/麻乃茉莉子・松平健/井上孝・遠山仁/池田純代・野瀬孝子/建部道子・(ナレーター)中村正/岡本信人・小林幸子/山口哲也/弓恵子


ストーリー
南部先生(弓恵子)は、前回せっかく動物園まで行ってスケッチをしたのだからと、生徒たちに動物をテーマにしたデザイン画の宿題を出した。そして、黒沢(山口哲也)も交えて合評会を開きたいという。彼と評価が対立するであろうことは明白だが、その方が生徒のデザインに対する考え方に幅が出るはずだという南部先生の提案に、黒沢も快諾する。

その日、生徒たちは寮で各自宿題に取り組む。咲子(山田はるみ)は1階のロビーでファッション雑誌を読んでいたが、ふと目を止めると、そのページを破り取り、そ知らぬ顔で書棚に戻して自室へ帰った。広美(徳永れい子)とヒデコ(渡辺ふみ子)も自室ではなかなかイメージが湧かないので、気分転換にロビーへ雑誌を読みに来た。ちょうど咲子がページを破った雑誌を広美が手にしていたところを、小野沢孝子(麻乃茉莉子)が通りかかる。孝子もその雑誌を読みたいと思っていたのだった。

その後しばらくして、麻子(小林亜紀子)と孝子が血相を変えて広美とヒデコの部屋にやって来た。麻子たちは寮長室へ二人を連れ込み、ページが破られた雑誌を見せた。そして、犯人は広美とヒデコだと決め付けたのである。だが広美とヒデコにはまったく身に覚えがなく、激しく抗議するが、麻子たちは聞く耳を持たない。あまりにも一方的な言いがかりに憤慨したヒデコは、部屋に戻るとまたもや大阪に帰ると言い出す始末。ちょうどそこへ帰ってきた裕子(紀比呂子)が何とか彼女をなだめる。

翌日の合評会。キリンをテーマにした咲子のデザインは、その優れたセンスを南部先生から高く評価される。これに対し黒沢は、咲子のセンスは認めつつも「完成度が高いというのがどうも引っかかる。片岡君は失敗を恐れすぎている。学生である以上、作り出す過程、生み出すまでの努力が大切だ」と評した。だが南部先生はあくまで「勝負は出来上がった作品」という立場だった。

その日の帰り道、裕子は書店で、例の雑誌と同じ物を手に取った。そして、破られていたページの写真を見て思い当たることがあった。合評会で見た咲子のデザイン画にそっくりなのである。雑誌を破ったのは咲子で、しかもそれを宿題に利用したのではないか。

裕子は、広美とヒデコを連れて、咲子の部屋へ入った。麻子と孝子も一緒だった。裕子が口を開く前に、咲子は「あなたたちが何しに来たか分かってるわよ。これでしょ?」と、破った雑誌のページを取り出して見せた。驚く一同だが、咲子は平然と話す。「こんなことどうだって言うのよ。私はね、気に入ったデザインがあれば切り抜いて取っておく主義なのよ」。だが、その主義のおかげで、広美とヒデコはとんだとばっちりを受けたのだ。裕子に言われて、「悪かったわね」と面倒くさそうに広美とヒデコに謝る咲子。さんざん広美とヒデコに悪態をついていた麻子と孝子は立つ瀬が無くなり、ばつが悪そうに部屋を後にした。広美とヒデコも帰ったが、裕子は一人部屋に残り、雑誌を破ったこととは別の、もう一つの疑問を突きつけた。

「あなた、あの雑誌を今日の宿題に利用したのね?教室で褒められたデザイン、あなたの作品じゃなかったのよ。片岡さん、どうしてそんなことまでしなきゃならないの?」。だが咲子は悪びれた様子もない。「それがどうしたって言うのよ。これだけじゃないわよ。私はいつだってパリモードを参考にしてるわ。私の目標ですもの」。それに対し、学生である以上、下手でもいいから自分で考えたものを出さなければいけないと主張する裕子だが、咲子の考えとは相容れない。「デザインはセンスなのよ。無い知恵ひねって時間をつぶすなんてバカらしいわ。どんどんヒントをもらった方がずっと勉強になるわよ。・・・努力?努力なんてね、才能の無い人間が言う言葉よ。私は努力なんかしないわ!」

「でも勝負は、学院で先生に褒められることじゃないわ。一流のデザイナーになることよ。分かって?」裕子はそう言って部屋を後にしたものの、本当に努力さえしていればいいのだろうかという思いもあった。だが裕子にとって、努力がきっと勝つと信ずることしか道はなかった。


予告
マドモアゼル通り、次回は・・・。緒方デザインスクールでは、特別指導組を人選することとなった。その人選にあたってワンピースの競作を課されたが、果たして誰が選ばれるであろうか。次回をご期待ください。


MEMO
裕子と咲子の対立は今やデザインに対する基本思想の違いに基づく衝突であり、二人の関係は今まで以上に深みを持って描かれます。「努力」の裕子vs「センス」の咲子という明確な構図は、「アテンションプリーズ」で言えば、「心」の美咲洋子vs「実力」の香川妙子のよう。「努力だけで一流のデザイナーになれるのだろうか?」という裕子の自問は、「やさしい心だけで一流のスチュワーデスになれるのだろうか?」という美咲洋子のそれと重なります。裕子と咲子の違いについては、黒沢と南部先生の対照的な言動によっても強調されています。

咲子の部屋に置いてあるスイス製チョコレート。咲子は途中で明治のミルクチョコレートにすり替えるが、麻子は気付かず「美味しいわねこれ。さすがスイス製」と言って食べている。

「『ウエスト・サイド物語』って映画はね、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』なのよ」。裕子とのやり取りの中で、咲子がちょっと映画通なところを披露します。

初出・2001年8月2日木曜日




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