マドモアゼル通り
第7話「君はパンダを見たか?」


キャスト
紀比呂子/徳永れい子・黒沢のり子/小林亜紀子・山田はるみ/谷岡行二・渡辺ふみ子/麻乃茉莉子・松平健/井上孝・(ナレーター)中村正/桂麻紀・田中三津子/岡本信人・小林幸子/桜むつ子・山口哲也/弓恵子


ストーリー
その日、黒沢(山口哲也)は教室で授業を始める前に、今日は天気が良いので外へ出ようと言い出した。次の時間は南部先生(弓恵子)のスタイル画だが、黒沢はそんなことはお構いなしに、生徒たち全員を連れ出して、動物園でスケッチをさせることにする。今日はスケッチのみ、色は頭に叩き込んでおくように、と指示する黒沢。パンダ、シマウマ、トラ、キリン・・・生徒たちは各々好みの動物をスケッチする。裕子(紀比呂子)の描いたスケッチを見た黒沢は「大体掴んだな。だがまだまだ!頑張れよ」とだけ言った。以前クロッキーに×印をつけられ、「自分で考える!」と言われた記憶が残る裕子にとって、今日の黒沢の言葉は励みになった。

一方、学院では南部先生の授業時間になったが、教室には誰もいない。助手の江間夏子(桂麻紀)から事情を聞いた南部先生は激怒。やがて動物園から帰ってきた黒沢と激しい口論になるが、黒沢は自分の方針を曲げない。教室内でモデルを描いているだけでは、生徒たちは絵心を掴めないからだと。「それで、掴めましたの?」と問う南部先生を、黒沢は強引に教室へ引っ張って行き、生徒たちのスケッチを見せた。裕子のスケッチについて、まだまだ未熟だがハートがある、絵に必要なのはハートだと力説する黒沢だが、南部先生の考えとは相容れない。また、咲子(山田はるみ)の描いたスケッチについて黒沢が「片岡君は何を描いてもスタイル画のようになる。色も頭に焼き付けず、文字で書き込む。僕は不満だが、南部先生の意見は?」と問うと、南部先生は「いいと思います」と答えた。デザイナーにはセンスさえあれば良いのだと。二人の意見の溝は埋まらない。

二人の火花散る応酬に圧倒される裕子たち。どちらの意見が正しいのか。デザインはセンスなのかハートなのか。その日の帰り道、裕子は“FULL FULL”のママ(田中三津子)に尋ねてみた。「センスも努力で身に付けるものよ」というママの答えに、裕子は膝を打った。

翌日の黒沢の授業。各自、昨日描いたスケッチに色をつける。咲子の絵を見て黒沢は「惜しいな。それだけの色が出せるなら、デッサンをもっとしっかりやりたまえ。今のままでは綺麗なだけだ」と言った。一方、裕子は、昨日脳裏に焼き付けたあの色がどうしても出せない。黒沢に「色が汚い。もっと鮮明なはずだ」と指摘されるが、裕子にはそれが自分でもよく分かっていた。

翌朝、日課のランニングをしている裕子。朝の道を走りながら、裕子の心は洗われていった。きっとあの色を出してみせる、きっと・・・!裕子は明日に向かって走り続ける。


予告
マドモアゼル通り、次回は・・・。出されたデザイン画の宿題。そのために一冊の雑誌が破られた。その犯人と宿題の出来栄えを巡って、裕子たちと咲子との対立があった・・・。


MEMO
動物園のシーン、西条ヒデコ(渡辺ふみ子)の描いたシマウマのスケッチを見て黒沢は「動きが無いな」と指摘。「そやかて、あのシマウマさっきからちっとも動かへんのですわ」「相変わらず小学生みたいなことを言っているな。馬の心臓は動いてるぞ。目も動いてる」。前回(第6話)のクロッキーの時間にも、ヒデコは黒沢から「まるで小学生だな」と言われている。彼女は「小学生なら、純粋でええんちゃいますか」と切り返すが、黒沢は「君のは純粋じゃなくて単純なんだ」とバッサリ。

南部先生と黒沢が繰り広げる激しい論争。スタイル画に限らず絵に必要なのはハートだと主張する黒沢。だが南部先生は、黒沢の考えはあまりに芸術家的発想だと批判する。この学院は画家の養成所ではない、生き馬の目を抜くような厳しい競争に打ち勝つデザイナーの養成学校だと。

南部「デザインは流行を創るものです。人々が何を求めているか、そこで通じ合うハートを自分の物にすることがデザイナーには必要なんです。あなたのおっしゃるのは、流行に関係ない、存在そのもののハートなんでしょう?」

黒沢「しかしそこに共通するのは、人間に対する、いや、人間をも含めてあらゆる存在に対する愛情だ。僕の言うハートとは、その愛のことです」

なお、南部先生は緒方の卒業生であることが咲子たちの会話から判ります。

裕子たちのクラスメート・佐伯実(松平健)は黒沢先生の意見に賛成している。佐伯はユトリロの絵が好きで、あの色は対象と格闘して苦しみぬいて初めて生まれたものだ、センスで簡単に付けた色じゃない、と彼は言う。

学院からの帰り道、花屋の店先に立っている裕子に、咲子の毒舌が炸裂。今回は「努力よりセンス」という彼女の持論が南部先生の意見に裏打ちされたこともあり、自信に満ちた表情で裕子を煽ります。

咲子「綺麗な色のお勉強?いくら綺麗な花を見たって、綺麗な色が出るかしら?色彩感覚の問題よ」

裕子「でも、その色彩感覚は努力して身に付けるものでしょ?」

咲子「違うわ。持って生まれた天分よ。いくら汚いものを見たって私が綺麗な色しか出せないようにね・・・」

裕子「そうかしら。努力しなければ、磨かれないわ」

咲子「そう。ま、せいぜい頑張りなさいよ。期待してるわ・・・」。

スミ子(黒沢のり子)が勤めている美容院は「堀部美容室」。裕子はそこで髪をセットしてもらっているが、授業で思い通りの色が出せず、咲子に色彩感覚のことで侮辱された悔しさから、鏡の前で泣き出してしまう。今まで咲子にどんな意地悪をされても耐えてきた裕子ですが、今回は自分のセンスの問題を突かれ、打ち負かされてしまいます。顔をくしゃくしゃにして悔し泣きする裕子の表情が印象的でした。

初出・2001年7月26日木曜日




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