怪奇ロマン 君待てども


本作のヒロイン・三浦真弓さん


本作については私は未見なのですが、渡邊豊信さんから、ベータテープの録画分と当時の「週刊TVガイド」に基づく詳細なデータを提供して頂きました(テープはカビの進行により視聴後は廃棄せざるを得なかったそうです。残念・・・)。円谷プロ制作の昼メロドラマとして貴重な作品ですので、ここでご紹介します。以下、本稿は基本的に渡辺さんの原文をそのまま利用させて頂きました。写真資料は全て当時の「TVガイド」によります。


作品データ

昭和49年8月5日〜
全55回(11週)。


スタッフ

制作 東海テレビ放送
円谷プロダクション
プロデューサー 出原弘之(東海テレビ)
淡 豊昭
伊藤久夫
脚本 石堂淑朗(1〜45)
竹内勇太郎(46〜55)
演出 山際永三
岡村 精
音楽 冬木 透
撮影 町田敏行
美術 池谷仙克
照明 鎌田靖男
編集 小林熙昌
録音 竹内久義
記録 黒田知子
当麻浩子
八木富子
メーク 中村恵子
助監督 中島俊彦
制作主任 川口秀雄
ナレーター(霊の声も) 岸田今日子
 
キャスト

杉はるひ 三浦真弓
伊吹武夫 明石 勤
山本正 小川真司
武夫の母 楠田 薫
伊吹良子(武夫の妹) 菅沢恵美子
加崎老人(道子の父) 河村謙一郎
加崎純子(道子の母) 平井岐代子
中井夏子(はるひの同僚) 高樹蓉子
加崎道子(亡霊) 小木日美
歌手 北野次郎
新玉恭子
はるひの親戚 尾崎八重
丸山 修
案内者 小海とよ子
精神科医 増田順司
小沢(山本の隣人) 遊佐ナオ子
西條公子(武夫の婚約者、後に結婚) 井上れい子
公子の親戚 山本 武
石川隆昭
相原巨典
降霊術師 上田忠好
その他 草間璋夫
鹿島信哉


あらすじ

その日、杉はるひは幸福の絶頂にいた。兄のように慕う従兄の伊吹武夫と、彼の親戚ではるひの婚約者・山本正の三人で、鎌倉の海岸近くの神社を訪れていた。だが、その神社に奉納してあった絵馬に書かれていた花嫁=加崎道子の亡霊が、はるひに乗り移ってしまう。戦争で死に別れた道子の婚約者が、武夫に瓜二つだったからだ。倒れていたはるひを救う二人。

その日以来、夜毎、はるひを襲う絵馬の花嫁の霊。いつの間にか、その幻想とも夢現ともつかない“モノ”に引き寄せられ、再び絵馬の前に来ていたはるひ。そこで、謎の老夫婦に会う。彼らはあの絵馬のモデル・加崎道子の両親だったのだ。はるひは二人から、正との結婚式に使ってくれと、ウエディングドレスを渡される。それも霊のなせる業か・・・?彼女は武夫を求める道子に乗り移られた自分と、誠実な正を慕う“本当の自分”とのせめぎあいに苦しんでいった。
 
ある日、同僚・夏子の怪我で、血をなめた(?)はるひは、その血を“美味しい”と感じたばかりか、その日の朝からの気だるさが遠のくのを知り、慄然とする。

そして遂に、正との結婚式の当日。式の途中で、はるひは突然倒れ、式は中途半端な形となってしまった。加崎道子の霊が中断させたのだ。夫・正の誠意と、霊・道子が求める従兄・武夫への愛に挟まれて悩むはるひ。

幸福であるはずの新婚生活も、はるひの行動で、正の不安は募るばかりであった。はるひは買い物の途中、ある慰霊碑に遭遇。その慰霊碑こそ、“絵馬”の花嫁、加崎道子のものであった。霊に乗り移られたはるひの告白を聞いた武夫は、正のためを思い、見合いをした西條公子との結婚を決める。

だが、祝福されるべき武夫と公子の挙式当日、はるひに乗り移った霊は恐ろしい憎悪となって現れた。そして式後、ホテルでくつろぐ二人を訪ねるはるひ。事情を知らず悩む公子に、武夫は、今までの事を包み隠さず話す。正も遂に、はるひを精神病院に入れる決心をする。

はるひは霊の命ずるままに動き、同僚・中井夏子の血を吸い続ける。以来、夏子ははるひを慕い続け、ついには自殺に追い込まれる。精神科医、降霊術師も、はるひに取り憑いた霊には無力であった。たまりかねた正は、武夫に、「はるひを抱いてやってくれ」と言う。

はるひの望むままに海辺へやってきた武夫。その眼前で、道子の父が死に、その霊がはるひに迫る。道子の霊をあの世に連れ戻そうというわけだ。一旦、父の霊は娘の霊に勝ったかのように見えたが、道子の霊が最終的に打ち勝つ。救いの道は、武夫がはるひを抱くことだけなのか?・・・武夫の協力(?)によって、30年来の思いを遂げる道子。そしてはるひは解放される。正と別荘に滞在する正気のはるひ。

また武夫も公子と平穏な生活に。公子は自分の妊娠を武夫に告げる。それを知り、再び道子の霊が出現。武夫と関係を重ねるうち、武夫にも“阿部慎二(道子の戦争で死んだ婚約者)”の霊が乗り移る。

武夫の母・光子は、伊吹家を守るため、武夫とはるひの結婚式を装い、はるひを殺そうとする。が、計画通り進まず、やはり血を吸われてはるひの虜となってしまった武夫の妹・良子のために、逆に光子は命を落としてしまった。

そして、遂に道子は霊の求めるままに、武夫とはるひの姿で、海の底へと消えていった・・・。


当時の「週刊TVガイド」より

ヒロインの三浦真弓は、前作「五番町夕霧楼」での可憐な役と打って変わっての演技に体当たりした。自らも「風呂場で女の生き血を吸うシーンがあるんです。後で試写を見て、自分の顔の凄まじさに驚きました・・・」と言っている。




かいせつ

この作品は、円谷プロ名義の初の昼帯ドラマである。これ以前にも、覆面プロダクションとしてメロドラマの制作はしていた。伊東正純プロデューサーによる東宝テレビ部下請けシリーズである。その実績(?)が認められ、東海テレビより発注を受けて制作したのがこの作品である。

太平洋戦争時、特攻出撃の失敗で割腹自殺を遂げた恋人の後を追い、自らも戦火の中で死んだ女の霊が、戦後30年を経て、平凡なOLの杉はるひに乗り移る(TVガイドより)。はるひは、霊の果たせなかった恋を全うしようとするが、霊魂を生き続けさせるため、他人の血を吸わねばならぬという、当時の「エクソシスト」等のオカルトブームに便乗した物語だが、東海テレビの出原弘之氏は、このテーマを数年来あたためていたと言う(TVガイドより)。

制作・プロデューサーには、TBS時代、円谷一氏の助監督を務め、「ウルトラマン前夜祭」では中継で実相寺昭雄監督の助手、プロデューサーとしては「風(栗塚旭主演)」「怪奇大作戦・京都編」、ATG映画、「ミラーマン」「ジャンボーグA」で才腕をふるった淡豊昭氏、日活系で、「ウルトラマンA」でデビューし、後、「人間の條件(松平健主演)」で活躍した伊藤久夫氏。脚本は、TVガイドや最近の専門書では、石堂淑朗氏のみとなっているが、最期の2週は、この頃の東海テレビのメロドラマの殆どの締めを書かれていた竹内勇太郎氏の手による。演出は山際永三、岡村精の両氏。




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