ファンタスティックコレクション
ウルトラセブンアルバム


「ウルトラQアルバム」に続く朝日ソノラマのムック本。特撮本の老舗である「ファンコレ」ならではのマニアを意識した作りが光ります。

構成は極めてオーソドックスで、各エピソードにカラー・モノクロページを1〜2ページずつ割り当て、フィルムの抜き焼きを中心にしつつも、珍しいスチールやスナップ、ジャンクフィルムからの抜き焼きなどを交えています。

さて、注目の9話「アンドロイド0指令」ですが、カラーページでは本編からの抜き焼き7枚と、ゼロワンの鮮明な写真が1枚。モノクロページではなんと金髪のかつらをつけていない素顔の小林夕岐子さんの写真が2枚、半ページ使って紹介されています。こんな写真をセレクトするあたり、ただならぬ意図を感じます(と思ったのは私だけではないはず)。以下、問題の写真を個別に解説します。



まず、カラー写真。本編のラスト近く、デパートの屋上でセブンに追いつめられたゼロワンが、セブンに電撃を浴びせようと左手を伸ばしたポーズです。本編ではこの構図の時、ゼロワンの額に命中するエメリウム光線が作画合成されているので、本編フィルムからの抜き焼きではありません。

ただ、ポーズや構図が本編の映像と全く同じに見えるので、合成前のネガからの抜き焼きのようです。しかしそれにしては髪の毛の一本まではっきり確認できるほど鮮明なのが不思議。また、かなり退色しているので、宣伝用として用意されたものではないでしょう(宣伝用ならばもう少し保存状態が良いはず)。あるいは、単に使う機会がなかったからでしょうか?

同じような例として、怪獣図鑑などでよく使用されている、エレベーターの中に立っているゼロワンの全身像写真がありますが、これも本編中では全身が写る前にカットが切り替わるので、本編放送フィルムの抜き焼き写真ではありません。本放送当時に何らかの形でオリジナルネガから抜き焼きされて残っていた写真がその後も使われているのだと思います。

ちなみに、講談社の大島康嗣カメラマンは9話の撮影には立ち会っていないため、いわゆる本編の「特写」は存在しません(講談社刊「テレビマガジンヒーローグラフィックライブラリー3 ウルトラセブン」参照)。


次に、モノクロ写真。これには驚きました。冗談抜きで超かわいい!この写真を見て思わず「アンドロイド0指令」を見たくなったという人も多いのではないでしょうか(希望的推測)。奥付けの「写真協力」に東宝アドセンターは入っていなかったので、東宝が撮影したものではないようです。おそらく、東宝撮影所で「お面をかぶったような無表情な顔をした美女」(朝日ソノラマ「ファンコレNo.29 ウルトラセブン SFヒーローのすばらしき世界」24頁参照)の小林夕岐子さんに目を付けた満田監督が、「アンドロイド0指令」のテスト用に撮影させたものではないでしょうか?。左右の斜め前から撮影されたものが一枚ずつ。キュッと口を結んだおすまし顔で、遠くを眺めているような視線。ほとんどスッピンに近いナチュラルメイクのようですが、もう完璧です。髪はセンター分けのロング(アンドロイドの金髪のかつらより長い)で、白いセーターとのコントラストがすごくいい感じ。最近の書籍に掲載された写真の中ではベストショットかもしれません。


それにしても、これだけ沢山のウルトラシリーズの書籍が世に出るようになった現在でも、まだまだ日の目を見ない資料が数多くあることを実感させられます。本書は「アンドロイド0指令」以外にも、初出写真が盛り沢山で、2,800円の価値は十分あります。



2004年11月4日追記

本書の編者である竹内博氏より、本書に収録されているゼロワンの写真について詳細を教えて頂きました。

カラー写真については、合成前の35mmラッシュフィルムからとのことです(合成シーンは必ず35mmで撮影される。なお、本編は16mm)。つまり、1967年当時に編集作業用として暫定的に作られたフィルムが現在まで残っていたということです。経年のため赤っぽく退色はしているものの、元々が劇場用映画と同じ35mm撮影というだけあって、非常に緻密な表現力を持った写真になっています。

モノクロ写真については、オーディションかテスト時の写真とのことで、30数年前に円谷プロが廃棄したネガを竹内氏がサルベージしたものだそうです。全部で5〜6カットあるらしいとのこと。今後の『セブン』関係書籍での発表が期待されます。




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