ファンタスティックコレクション
東宝特撮・怪獣・SF映画写真集


先に発売されていた朝日ソノラマ刊「東宝特撮怪獣映画 未公開写真集」の続編で、本書は1965年『奇厳城の冒険』から1984年『ゴジラ』までの未公開写真を中心に構成されたマニア向けムック本です。定番の東宝特撮映画はもとより、『クレージーだよ奇想天外』『空想天国』『クレージーの大爆発』『コント55号 宇宙大冒険』『悪魔が呼んでいる』『ピンク・レディーの活動大写真』『東京湾炎上』等の、これまで余り取り上げられる事のなかった作品群についてもページを割いてカラースチールが掲載されています。

『怪獣総進撃』『血を吸う人形』『決戦!南海の大怪獣』における小林夕岐子さんの収録写真について、以下紹介します。


怪獣総進撃

1.
映画冒頭、怪獣ランドコントロールセンターで、新任職員の真鍋杏子(小林夕岐子)が、大谷博士(土屋嘉男)と話しているシーン。「怪獣王ゴジラ特撮写真館」に掲載されているスチールと同じ物ですが、トリミングの仕方が異なり、本書では写真の下が広く、「怪獣王〜」では上が広くなっています。両方併せて見ると、2階部分まで作られたセットの天井の高さが良く分かります。ちなみに写真右側に「TV PHONE ROOM」と書かれた自動ドアが見えますが、山辺克男(久保明)から長距離電話がかかってきた時、杏子はこの部屋を入って右手のボックス(4番)で受話器を取ります。ボックスには椅子がありますが、完成画面で見ると、杏子は立ったまま通話していたようです。

2.
突然連絡を絶った怪獣ランドコントロールセンターに乗り込んだ山辺らSY-3の乗組員を待ち受けていた大谷博士と杏子。キラアク星人に洗脳された大谷博士が、山辺たちに世界各地で暴れ回る怪獣の姿をモニターで見せるシーンのスナップです。杏子はコンソールパネルにもたれ掛かり、クールな流し目でモニターを眺めています。「宇宙船別冊 スーパーギャルズ・コレクション」では杏子の部分だけトリミングして掲載されていましたが、本書ではSY-3乗員全員が写っています。なお、『総進撃』DVDソフトのジャケット裏面にも、サイズは小さいですが本書と同じスチールが掲載されています。

3.
本編フィルムからの抜き焼き。キラアク星人に向かって行ったSY-3乗員の岡田(当銀長太郎)が見えない壁に阻まれるシーンです。キラアク星人の傍らに立っている杏子が、その様子を横目で見ています。

4.
杏子・大谷博士・キラアク星人リーダー(愛京子)の3人が立っている構図で、初出写真だと思われます。ここでも杏子の無表情なお澄まし顔が印象的。杏子は本当に何のポーズもなくただ立っているだけなのですが、鋭く突き刺すような視線、キュッと結んだ口元など、只ならぬ存在感が漂います。左手の人差し指をちょっと伸ばしている感じ。この写真のシーンの後、大谷博士が山辺たちの方へ歩み寄り、キラアク星人の科学力への敬服を語り始めますが、この時の杏子とキラアク星人が二人で立っている場面のスナップが、DVD解説書の裏表紙と、「宇宙船別冊 ウルトラブックス ゴジラ激闘超図鑑」で使用されています。やっぱり杏子は左手人差し指をちょっと伸ばしています。

3人の後ろ、キラアク星人登場シーンのバックに使用されている透明のカーテンみたいな物がセットの床に達しているのが分かります。これは梱包材のいわゆる「プチプチ」を使用していたのでしょうか。

5.
東京にラドンが襲来するシーン、逃げ惑う人々を尻目に一人空を見上げてほくそ笑む杏子。この写真、「スーパーギャルズ・コレクション」での掲載時は左右が大きくトリミングされていましたが、本書ではかなりゆとりを持って収録されており、場面状況がよく伝わってきます。

6.
防衛司令部の作戦室で、キングギドラ対地球怪獣の戦いを見守っていた山辺と杏子、そして司令部幹部たち。キングギドラが倒され、その後ファイヤードラゴンの出現に、杏子が「燃える怪獣・・・聞いたことがありませんわ」と声を上げるシーンのスナップ。「怪獣王ゴジラ特撮写真館」でも掲載されましたが、この時はちょうど杏子の足の部分にキャプションが乗ってしまっており、また足先までは写っていませんでしたが、本書では足先までトリミングされずに掲載されています。


・・・その他、『怪獣総進撃』パートで注目すべき写真としては、まずキラアク星人リーダー役・愛京子さんの単体写真。いつものように体の前で手を組んでいるポーズなのですが、羽織の脇から二の腕が覗いており、銀色の手袋は肘まであること、また衣裳はノースリーブであることが判明します。

もう一つ、キングギドラを呼び寄せたキラアク星人が地球人に警告するシーンのスナップ。リーダーの後ろに4人のキラアク星人と怪獣ランド職員・伊勢徹男(伊吹徹)がいます。写真左端、配下のキラアク星人の足元に注目。なんとサンダル履きです(笑)。もちろんこのシーンの完成画面では足元は映りませんし、同じ写真が「本多猪四郎全仕事」で掲載された際にはトリミングされていましたので、これはある意味衝撃的な一枚でした。ちなみに本編終盤、富士山麓のキラアク地下要塞をゴジラが破壊し、逃げ惑うキラアク星人たちが地面に倒れこむシーンでは、その足元が映りますが、この時は衣裳と同系色の靴(orブーツ)を履いていました。


血を吸う人形

1.
「スーパーギャルズ・コレクション」に掲載されたのと同じ吸血鬼モード野々村夕子(小林夕岐子)の、右手にナイフを構えた全身像のショット。今回は1ページ大での掲載で、大迫力です。『血を吸う人形』DVD解説書にも掲載されました。

2.
映画の劇中で使用された物と同じ遺影写真。この写真では小林夕岐子さんは微笑んでいますが、「ゴジラ画報」には同じ構図で口を結んでいるバージョンの写真が掲載されていました。劇中使用バージョンの掲載は本書が初めてだと思います。

3.
墓地で佐川和彦(中村敦夫)に抱かれる夕子が、彼の背後にナイフを突き立てている有名なショット。この構図は、勁文社「日本特撮・幻想映画全集」やLPレコード「SF特撮映画音楽全集7」解説書、さらには宣伝スチールNo.9(「血を吸う人形」スチール集参照)でも見られますが、各々少しずつ位置関係が異なっているので、特写用に中村敦夫さんと小林夕岐子さんがポーズを付けて何枚も撮影をしたのだと思います。


なお、本書に掲載された『血を吸う人形』の写真は全てモノクロでしたが、実は何とカラースチールも存在しますので、この場を使ってご紹介します。(「週刊明星」1970年7月5日号より。資料提供・緑一色さん)。



「ワー、きれいなユーレイね」とよろこんでいる夕岐子さん( ´∀`)。ご本人が野々村夕子役をノリノリで演じていたことが窺える当時の貴重な記録でもあります。栗色の髪、青白い顔、金色の目、そして血塗られた右手が鮮やかな色彩で表現されたスチールで、照明の加減が違うためか、劇中での印象とはまた一風変わった雰囲気が漂います。ちなみに、小林夕岐子さんはこの栗色のかつらが大変気に入っていたそうで、撮影後に譲ってもらってその後自分で使っていたそうです(『血を吸う人形』DVDオーディオコメンタリー)。


決戦!南海の大怪獣

1.
セルジオ島の広場で、祈祷師オンボ(中村哲)が祈りを捧げるシーンのスナップ。写真の奥にぼんやりとですがサキ(小林夕岐子)たちが写っています。

2.
コウモリが住む洞窟の前、二代目ガニメ出現に驚くリコ(斉藤宜丈)とサキ、島民たち。初出と思われます。

3.
リコとサキの結婚式のシーンから。「東宝特撮怪獣映画大鑑」にも掲載。ただし本書では大きくトリミングされており、また、プリントがやや暗いです。

4.
セルジオ島の高台で、ゲゾラやガニメの正体について自分の推理を語る宮博士を囲む工藤(久保明)、アヤ子(高橋厚子)、サキ、リコたちのショット。この写真、「本多猪四郎全仕事」での掲載時は夕暮れ時のような色合いでしたが、本書に掲載されたプリントでは真昼間のような明るさです。また、上下部分がトリミングされずに残っているので、ロケ先である八丈島の雲一つない青空が印象的です。



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