東宝映画友の会東京中央支部会報
「ほうゆう」


1969年8月1日発行の第38号(資料提供・松嶋菜々郎様)


松嶋菜々郎さんから「東宝映画」誌に関連する貴重な資料を提供して頂きました。「ほうゆう」という東宝映画友の会東京中央支部の会報で、1969年発行の34、35、36、38号です(月1回発行)。B5サイズの1枚ペラ若しくは2つ折4ページという体裁で、機関誌「東宝映画」とはまた違った切り口から、特に若手スターの情報を中心に編集されています。東京中央支部の熱心な活動ぶりがうかがえます。注目記事を以下に紹介します。


1969年5月1日発行・35号2面より

期待される二人の恋人

◇・・・<期待される二人の恋人>と題しても森谷司郎監督の作品とは全く無関係。3月号の<二人の若者>に続き、今月はあなたの恋人をもう二人紹介します。先日の撮影会にもモデルとして参加。と言えばお分りでしょう。コント55号『人類の大弱点』に出演の小林夕岐子。それに『乱れ雲』でデビューした中川さかゆです。・・・◇

燃えるような恋を

小林夕岐子――初秋の昼下り、湘南の海辺に建つ小さなホテルのテラスで、渚に打ち寄せる波の音に耳を傾けながら、恋する彼と二人きりで静かにお茶を飲む。そんな事を夢見るスター。長崎の夜景に心を奪われ、サガンの小説を愛読し、燃えるような<大人の恋>を演じてみたいという。
 そんなロマンチストの彼女の高校時代は、芸能界とは全く無縁で、どちらかというと、勉強より遊びの方に熱が入っていたらしい。卒業後、大学進学を決意したが、運悪く希望の学校に入れず、一年間予備校がよいの浪人生活を経験することになった。浪人中、人のすすめで養成所に通い始めたのがきっかけで、翌昭和41年ニューフェース6期生として契約。その結果、大学進学は断念。静的な面と動的な面を兼ね備えている。
 和服姿が似合う日本的なお嬢さん。茶道、三味線それに日本舞踊を稽古中。『雪女』のような役もやってみたいらしい。こうした純日本的な彼女も所が変わると――。
 強烈なロックビートの響き。爆発するリズム。はちきれる若さ。日本舞踊から一変して、対照的なゴーゴー。音楽がある間はジッとしていられず、いつまででも、踊り続けているという。日常の行動もなかなか積極的で、思いたったら誰になんと言われようとやり抜く猪突猛進型。プライベートな恋愛も、燃え尽きて灰になるような恋をしたいという。
 将来は映画・テレビの他に舞台にも出たいらしい。スターへの道をまだ歩み始めたばかりの彼女。そんな彼女の一見、矛盾したような性格。それは意外と現代娘の純粋な性格なのかもしれない。

記事はインタビューから再構成したようですが、「高校時代は・・・勉強より遊びの方に熱が入っていたらしい」「燃え尽きて灰になるような恋をしたいという」等、かなりダイレクトな内容も含んでいます。ノーブルな外見とは対照的な面も持ち合わせているという点は、ご本人も当時から結構意識していたのでしょう。


情熱あふれるひと

中川さかゆ――理想は、官能的で自然で情熱にあふれる女になりたい。しあわせなときって、歌を唄ったり、好きな人がいるとき、そしてスキーをしているときね。でも仕事をしたあとに楽しむのが最高だワ、という彼女。小さい頃から役者になろうとして劇団に入り、芝居の勉強をするかたわらテレビなどに出演。単発ものでは主役もやり、高校を卒業した昭和42年ニューフェース7期生として契約。『乱れ雲』でデビューしたがまだこれといった出演作がない。
 そんな彼女の高校時代は、芝居の勉強をしている時間の方が長くて、クラブ活動はできなかった。が、一年の秋の学園祭で、演奏だけで唄はやらないというギターバンドをくどいて、ステージで唄ったというエピソードがある。今はその歌も本格的に習い、初仕事は東宝ビルの一角にできる店のオープンのときに唄うのだそうだ。
 歌、映画、テレビそれに舞台でと、何でも仕事があればやりたいという。日本舞踊の名取で、和服も洋服も似合う現代っ娘の彼女は、これからは何でも出来なくてはと、英会話などのレッスンを受けている。そして仕事の合間には、油絵を描いたり、近所のこどもとスケッチに行ったりする。また、彼女はスポーツウーマンで、スキーは一級の腕前、潜水も乗馬もやる。その上こつは日舞はスキーも乗馬もバランスとリズムだから共通してるの、だからすぐできたわ、と言ってのけ、時代劇で、野生的な女性を演じたいらしい。
 何よりも仕事がしたいの。私、才能をもてあまして困っているのです・・・という彼女の今後の活躍に期待しましょう。

文中で、歌について「初仕事は東宝ビルの一角にできる店のオープンのときに」とありますが、ちょうどこの記事の下に載っていた広告(下記画像)がこれに該当するのではないかと思われます。なお、余談ですが、中川さかゆ(後に梨絵)さんが1970年頃?に自分で作って仲間内でよく歌っていたという高石友也「受験生ブルース」の替え歌が、ひし美ゆり子さんの著書(『アンヌとゆり子』同文書院、98頁)で紹介されています。能力を発揮する場面に恵まれずもどかしい日々を送っていた心境が、この替え歌からもよく伝わってきます。




同3面より

撮影会開く!

 去る3月23日、赤坂プリンスホテルの庭園において、第二回東宝フレッシュスター春の撮影会が行われました。
 今回のモデルは酒井和歌子・藤あきみ・小林夕岐子・中川さかゆさんの各スターで、撮影指導は昨年に引き続き東宝スチールマンの吉崎松雄、岩井隆志、石月美徳の各氏にお願いしました。
 今回は昨年の二倍近くの会員が参加し、前回で腕をふるった人も顔を見せ、その時に受けた「モデルに注文を出して自分の思う様に撮影して下さい」という指導がゆきとどいたのか、さかんにポーズをつけている様子がめだち、昨年度より撮影会らしい雰囲気のうちに、無事終了致しました。
 その時のスナップ写真の選考がこの程、スチールマン三氏により行われ、その結果、応募総数196点の中から次の会員諸氏が見事入選致しました。
(・・・中略・・・)
 スチールマン諸氏に依る総評は次の通りです。
「昨年より大変立派な作品が出揃って、選択に苦労致しました。モデルの表情のつかみ方、バックの整理、ポーズのまとめ方に、もうひと苦労すると、より良い作品になることでしょう。」


こちらが最優秀作品に選ばれた写真。モデルは小林夕岐子さんです。


同4面より

CLOSE-UP



■テレビ映画“炎の青春”に出演が決まった徳永礼子さん、春の風にさそわれてか、朝早くから同期の斎藤宜丈さんと、馬に乗っています。でも馬の方は騎手にかまわず気ままにパカ、パカ・・・。

■ライバル―――銀行の内藤洋子と酒井和歌子。そしてカゼ薬の酒井と岡田可愛と言うようにCMの世界でも火花を散らす東宝スター。
  今度は一つのCM(シャービック)に一緒に登場したのは、内藤、酒井に続くスターの一人との声望高い高橋厚子・徳永礼子のご両人。さてあなたの声援は・・・・・・?

■宮内恵子さんは、牧麗子と名を改め、東芝でスキャット入りのさわやかな曲『夕焼けは知らない』を吹き込みました。発売は6月10日。

『決戦!南海の大怪獣』で小林夕岐子さんと共演されている斉藤宜丈さんがニューフェイス8期であることが判明しました。その他、8期の男性スターとしては、『スペクトルマン』で有名な成川哲夫さんがいます。


1969年6月1日発行・36号2面より

CLOSE-UP

■「ヤング・メイツ」で初舞台をふんだ宮内恵子(歌手名・牧麗子)さん。「吹き込みの時、足はガクガク、手はブルブルだったけど今日はそれほどでもなかったわ。でもやっぱり不安だった。」と感想をもらしていました。
 宮内さんの歌手名“牧麗子”というのは、「まァきれいこ」からきているとか。彼女の弁です。

■またまたCMの世界に登場したニューフェイス。“ゆきちゃん”こと木村由貴子さん。夏向きのスカッとした新聞広告とテレビに溌剌として出ています。先輩に追いつけ追い越せですな。

「牧れい」という芸名が「まあきれい」から、というエピソードは広く知られていますが、それ以前に「牧麗子」が「まァきれいこ」から来ている、とご本人の口から語られている貴重な資料です。「ヤング・メイツ」については上記35号の記事で紹介した広告を参照してください。なお、牧麗子さんのレコードについて詳細は「歌う女優 お宝レコード図鑑」で紹介しています。


1969年8月1日発行・38号2面より

私の好きな写真
小林夕岐子


 とても嬉しそうな私、そんな感じね。
 いつもおすましに撮れてしまう私の
写真。
でもこれが本当の私なの。
 こんなコケティッシュな感じの写真が
大好きです。


撮影会でファンが撮影した写真に、被写体のスター本人がコメントを付けて紹介するコーナーです。小林夕岐子さんは笑顔の写真でもどこかクールなイメージが漂うタイプだと思いますが、ここで紹介された写真は、ご本人にとっても素のままの表情が捉えられたお気に入りの一枚なのですね。


同2面より

青春対談 その2“食べざかり”

今回の青春対談は、その二、として『娘ざかり』(松森健監督)に出演中の“食べざかり”の若いお二人、内藤洋子、松本めぐみさんにインタビューしました。


――いよいよ夏が来ましたが、夏には強い方ですか?
内藤 私、熱さには弱いの。
松本 私は強い方、夏は大好き。
内藤 そう、私は、どっちかというと冬の方がいいわ。夏は食欲もなくなっちゃって。
松本 私はぜんぜんなくならないわ。なんでも食べるし、とってもくいしんぼう。
内藤 あら、食べ物の好き嫌いは私もないわ。
――甘党ですか、辛党ですか?
内藤 松本 両方!(笑)
松本 ホント、よく食べるわ。朝撮影所に来て、メーキャップしている時も、お昼は何食べるって相談して・・・・・・。(笑)
――どんなものが好きですか?
内藤 私、果物が好き。それからお肉も好きだし・・・・・・。
松本 私もお肉、お魚も好きよ。
内藤 食べ物は何でも好き。
――松本さん、外で食事をする時は何を食べますか?
松本 多いのが焼肉、お鍋ものね。
――美容食は?
松本 ぜんぜん気にしない。若いんだから、何でもよく食べ、よく寝て、というのが本当の美容じゃないかしら。
――昨日のメニューは?
内藤 私、前の日の夜二時頃までテレビのお仕事があって、それから帰るから、朝起きるのが遅くなっちゃって、だから、朝とお昼と一緒だったわ。お昼はパン食べて夜はおすし。
松本 大変ね、お仕事。
――では、話題を変えて、恋をしてみたくありませんか?
内藤 してみたいわ。
松本 私も、大いにしたいわ。
――現在は?
内藤 していないわ。だから、してみたいの。
松本 私は・・・・・・、シークレット。
――恋って?
松本 わからないわ。わからないから、ステキなものだナって思うから、いくつになっても、失恋しても、また、恋をして・・・・・・、だから、わかったらツマラナイ。
内藤 そうね。自然に出来てくるものだから・・・・・・。
松本 私、いくつになっても恋ってしてみたいわ。
内藤 私は、いつでも恋のできるあたたかいハートをもっていたいわ。(微笑)それに、恋人だけでなく、お友達も若いうちにたくさんつくっておきたいの。自分を受けとめてくれる・・・・・。
松本 私も、その点、洋子ちゃんは大切なお友達・・・・・・。
――では松本さん、内藤さんをどんな人だと思いますか?
松本 私は、洋子ちゃんを、とっても可愛らしい少女だと思っていたの。だけど、去年『年ごろ』で一緒にお仕事してビックリしたの。思っていたよりずっと大人で。
――内藤さんは?
内藤 とっても女の子らしいの。女性として大切なものをたくさんもっている人。誰にでも寛大で心が、広いのね。
松本 どうもありがとう。(笑)でも、洋子ちゃんも、私が何か言うと、それを、そのまま受け取ってくれて、最高に大切なお友達。
――公私ともに仲のいいお二人、いつまで話してもつきない様子でした。


1969年4月1日発行・34号1面より

スイートピーのような女(ひと)
佐川亜梨さん


“恋”
――しています。
“愛”
――いたわりじゃあないかしら。
“結婚”
――むずかしいと思う。
 あざやかな赤いオーバーに身を包み、三月の空の下に出て来たのは佐川亜梨さん。清純なお色気を持ったニューフェイスとして、デビュー以来、もう三年になりました。目指すスターは浅丘ルリ子。好きなスターは佐藤允。古流生花をたしなみ、書道は二段。それでいてミニスカートがよく似合う。
――私って意外と古風な面もあるけど現代的な面もあるの。
  こう彼女は言っていました。
 又、映画をよく見、最近見た中では、『あの胸にもう一度』が良く、主人公の女性の気持ちが良く分ったとか。
  一言だけのセリフでも、その中に自分をどう生かしていくかを考え、白痴の役もやってみたいと言っていた彼女。
 そうそう、それからスイートピーの花が好きだとも言っていました。そんな彼女がこれからの東宝映画にどう活躍してゆくか、大変楽しみですね。




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