ファンタスティックコレクション
本多猪四郎全仕事

本多猪四郎全仕事


朝日ソノラマのファンタスティックコレクション「ウルトラQアルバム」「ウルトラセブンアルバム」「ウルトラマンアルバム」に続く一冊。本多猪四郎監督の残した作品群を、劇場用特撮映画に限らず、一般映画作品、テレビ作品(「緊急指令10-4・10-10」「流星人間ゾーン」「サンダーマスク」など)、その他のビデオ作品に至るまで、メイキング写真や資料で網羅しています。特に、本多監督の一般映画作品を詳しく取り上げた資料は少ないので本書は貴重です。

小林夕岐子さんが出演した本多監督作品は「怪獣総進撃」「決戦!南海の大怪獣」は言うまでもありませんが、実はデビュー作「お嫁においで」も本多監督作品です。この3作品の特集ページから小林夕岐子さんの写っている写真を紹介します。



75ページ、「怪獣総進撃」より、小林夕岐子さん・土屋嘉男さん・愛京子さんの本編スナップ(白黒)。「テレビマガジンデラックス22 グラフブックゴジラ」(講談社、1983年刊行)という本に同じ写真が掲載されていますが、本書の方が鮮明で綺麗です。真鍋杏子(小林夕岐子)と大谷博士(土屋嘉男)はキラアク星人にコントロールされている状態。杏子は例によって無機質な表情でじっと正面を見据えています。

宇宙人にコントロールされている表情を演らせたら、土屋嘉男さんと小林夕岐子さんはまさしく双璧。小林夕岐子さんがキラアク星人リーダーでも良かったかも?そうすると、本編でキラアク星人を演じた高橋厚子さん・宮内恵子さん・佐川亜梨さんの誰かが主役に躍り出ることになったかもしれません。



63ページ、「決戦!南海の大怪獣」の本編カラースナップ。小林夕岐子さんのカラー写真は久しぶりの新発見なので貴重です。場面としては、本編中盤で宮博士(土屋嘉男)が工藤(久保明)・アヤ子(高橋厚子)・サキ(小林夕岐子)らに、ゲゾラやガニメは宇宙生物が地球の生物に乗り移って怪獣化したものではないかという推理を話すところだと思われます。

話を聞いている小林夕岐子さんは役柄上ドーランを塗っていますが、太陽光の下なので実に健康的に見えます。



79ページ、ゲゾラに襲われて記憶を無くしたリコを治そうと、島民たちが祈りを捧げるシーンの撮影風景(白黒スナップ)。このシーンはスタジオに組まれたセットで撮影されています。オンボ役の中村哲さんに演技指導する本多監督が写っており、ちょうどオンボはリコ(斉藤宜丈)にお払い棒みたいな物を振って魔除け(?)をするところです。リコはトーテムポールに挟まれた台座に座っています。そして、その後ろにぽつんと立っているサキ(小林夕岐子)が写っています。

小林夕岐子さんは左手を右肩にやって、ちょっと息を抜いている様子。撮影の合間にちょっと緊張を解いた瞬間を思いがけず撮影されてしまったという感じで、ある意味とても珍しい(見てはいけなかったような?)写真です。



79ページ、「宇宙船」52号に掲載されたのと同じ本編白黒スナップ。


※ちなみに「決戦!南海の大怪獣」のページには本多組(本編スタッフと出演者)の完成記念スナップも掲載されていますが、小林夕岐子さんは写っていません。日付は1970年2月(←日にちは写真不鮮明のため読めない)、撮影場所はロケ先(八丈島)の海岸。アジア開拓株式会社(劇中の架空の会社。星野アヤ子や横山が勤めている)のジープや、トロピカルなヒラヒラ帽子をかぶった横山(当銀長太郎)が写っていることから、工藤・宮博士・アヤ子らの一行がセルジオ島に初めて上陸するこのシーンの撮影で本編はクランクアップとなったようです。

このシーンではサキ(小林夕岐子)は登場しません。小林夕岐子さんはクランクアップ前に自分の出演シーンの撮影が全て終わり、一足早く上がっていたようです。



98ページ、「お嫁においで」完成記念スナップ(白黒)。劇中に登場する「パラダイスホテル」にあるレストランのセットで撮影されています。黒沢年男・原恵子・田村亮といった人たちは写っていません(このシーンには出演しないため)。写真向って右側の方、よーく目を凝らしてみると、ウエイトレス姿の小林夕岐子さん、菱見地谷子(ひし美ゆり子)さん、高橋厚子さんが写っています。高橋厚子さんは比較的わかり易いと思います。


補論:「決戦!南海の大怪獣」タイトル変遷について

本書の巻末には収録作品のシナリオ表紙が紹介されています。このページで「決戦!南海の大怪獣」のタイトルの変遷が分かるので紹介しておきます。

まず、1966年5月9日付けで「怪獣大襲撃」という検討用台本があります。その3年後に「海の大怪獣 大襲撃」という改訂版検討用台本があり、その第2稿が「決戦・南海の大怪獣」。これらを経て、1970年1月7日付け決定稿「決戦!南海の大怪獣」となりました。「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ」という副題は後で付けられたようです。しかし、完成作品のフィルムでは「ゲゾラ ガニメ カメーバ 決戦 南海の大怪獣」となっており、「・」や「!」は入っていません。


補論2:「怪獣総進撃」タイトル変遷

「東宝映画」誌1967年11月号掲載の「'67−'68年度企画作品一覧表」によると、「怪獣総進撃」は当初「怪獣総進撃命令」という題名でした。そして1972年のリバイバル公開時には「ゴジラ電撃大作戦」に改題されています。完全新作だと思って見に行ってしまった人も当時多かったことでしょう。




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